ジュース用カンショ新品種候補系統「九州120号」
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要約
カンショ「九州120号」は極多収で乾物率が低く、β-カロチンを多量に含み、搾汁液の褐変が少ない。ジュース用加工原料に適する。全国のカンショ作地域に適する。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室
- 連絡先:0986-22-1506
- 部会名:作物生産、畑作
- 専門:育種
- 対象:いも類
- 分類:普及
背景・ねらい
南九州では、でん粉原料用カンショの用途転換を図るために様々な利用法が検討されている。最近、色素を含む低でん粉系統が作出され、調理、加工用への利用
が期待されている。特に、β-カロテンを多く含むカロテン系統がジュース加工原料として注目され、商品開発が実用化しつつある。
成果の内容・特徴
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収量は「ベニハヤト」よりかなり高く、「コガネセンガン」並みで、極多収である。
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切干歩合は「コガネセンガン」より低く、「ベニハヤト」並である。
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カロテン含有量は既存のカロテン品種「ベニハヤト」並みで、極めて高い。
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生いもジュースは変色やニンジン臭が「ベニハヤト」より少なく、味も良好である。搾汁率は「ベニハヤト」より高い。
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病虫害抵抗性は、黒斑病に「やや弱」、ネコブセンチュウに「強」、ネグサレセンチュウに「やや強」である。
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貯蔵性は、「ベニハヤト」「コガネセンガン」より優れ、「やや易」である。
成果の活用面・留意点
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極多収で形状が良く、高カロテン・低乾物率であるのでジュース加工用品種として利用できる。
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全国のカンショ作地域に適する。
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萌芽性がやや劣るので苗床での保温に留意する。
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黒斑病抵抗性が「やや弱」であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。
具体的データ

表1 九州120号の特性概要
その他
- 研究課題名:暖地向け優良カンショ品種の育成
- 均質性に富む高加工適性カンショ品種の育成
- 予算区分 :経常・高収益畑作
- 研究期間 :平成8年度(平成1~3年、平成4~8年)