部分耕播種とロールベール収穫を組み合わせたスーダングラスの一貫省力栽培技術

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要約

九州農業試験場で開発中のスーダングラスの部分耕播種技術を、3年間にわたって現地農家に導入し、部分耕播種、スラリーの追肥利用、ロールベール収穫調製から成るスーダングラスの一貫省力栽培技術を確立した。

  • 担当:九州農業試験場・草地部・飼料生産管理研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:草地(生産管理)、畜産・草地、総合研究
  • 専門:栽培
  • 対象:飼料作物類
  • 分類:普及

背景・ねらい

畜産農家では労力不足のため、粗飼料の生産方法をできるだけ省力化しようとしている。ロールベーラの導入により収穫調製はかなり省力化されたが、より一層の省力生産を実現するためには、播種から収穫調製まで一貫した省力栽培技術を確立する必要がある。

成果の内容・特徴

  • スーダングラスの播種は、イタリアンライグラス2番草収穫直後の6月上旬に部分耕播種機を用いて行う。本作業機は一行程で部分耕(幅30cm)、施肥(成分5kg/10a)、播種(6kg/10a)、覆土、鎮圧の諸作業ができる(表1、写真1)。
  • 部分耕法で播種したスーダングラスの発芽は良好であり、播種後3週頃(草丈約40cm)のスラリー散布(3t/10a・N量3kg)も生育に悪影響はない。8月上旬に1番草、9月中下旬に2番草をラップサイレージに調製できる。
  • 部分耕法の収量は1、2番草合わせて生草で約12t/10a、乾物で約1.3t/10aであり、慣行法に優る(表2)。この要因は、部分耕法が慣行法より2週間程度早播きであるためである。
  • 収穫調製はロールベール体系(トラクタ-98ps、モアコン、テッダーレーキ、ロールベーラ、ラッパー他)で行う(表3)。
  • 部分耕法の播種から収穫調製までの全作業時間は約140分/10aであり、この時間は慣行法の55%、堆肥散布を除いて比較しても79%である。部分耕法の省力化の要因は、播種関連作業の簡略化と堆肥散布の省略にある(表3)。
  • 農家の評価:部分耕法は作物の切替が早くでき、作業も楽である。実証農家は飼養頭数(約100頭)が多く、労力(2.0人)に逼迫した西南暖地の典型的な酪農家である。

成果の活用面・留意点

  • 本技術は、ロールベーラを利用した夏作粗飼料生産のより一層の省力化に有効である。
  • ハリビユ等の雑草多発圃場では、スーダングラスの生育初期に除草剤(MCP剤)を散布する。また、スラリーの散布は土中注入方式が望ましい。

具体的データ

表1 部分耕播種機の概要
表1 部分耕播種機の概要

 

表2 スーダングラスの栽培法と収量
表2 スーダングラスの栽培法と収量

 

表3 スーダングラスの栽培法と作業時間
表3 スーダングラスの栽培法と作業時間

 

写真1
写真1

 

その他

  • 研究課題名:スーダングラス、イタリアンライグラス等周年作付体系の省力栽培技術の確立
  • 予算区分 :営農合理化(地域総合)
  • 研究期間 :平成8年度(平成5~9年度)