気温及び湿度の変化と乳牛の潜熱放散

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要約

乳牛の潜熱放散量は、気温及び湿度の上昇にともなって増加及び減少する。高温環境下で潜熱放散量が減少すると、飼料摂取量及び乳量が減少するので、暑熱時には畜舎内の水分除去に配慮する必要がある。

  • 担当:九州農業試験場・畜産部・環境生理研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:畜産、畜産・草地
  • 専門:飼料管理
  • 対象:家畜類
  • 分類:指導

背景・ねらい

暑熱時の飼料の摂取量は、熱発生量と熱放散量のバランスによって規制されている。したがって、夏季において十分な養分摂取量を確保し、乳量及び乳成分の向 上を図るには、効率的に熱を放散させる必要がある。そこで、乳牛の暑熱対策技術の向上に資する目的で、乳牛において主要な熱放散経路のひとつである潜熱放 散に及ぼす気温及び湿度の影響について検討する。

成果の内容・特徴

  • 汗や呼気に含まれる水分の蒸発によって放散される潜熱の量は、気温の上昇にともなって増加し、湿度の上昇にともなって減少する(図1)。
  • 湿度が上昇すると、顕熱放散量は変化しないが、潜熱放散量が減少することにより、全熱放散量が減少し、飼料摂取量及び乳量が減少する(図2)。したがって、暑熱時には畜舎内の水分除去に配慮する必要がある。
  • 高温環境下では、潜熱による熱放散の割合が増加し、呼気からの潜熱放散が占める割合も増加する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 暑熱対策技術の参考となる。
  • 実際の暑熱対策に応用する際は、熱発生量の低減についても十分に考慮する必要がある。

具体的データ

図1 気温及び湿度の変化が潜熱放散量に及ぼす影響
図1 気温及び湿度の変化が潜熱放散量に及ぼす影響

 

図2 湿度が熱放散及び乳量に及ぼす影響
図2 湿度が熱放散及び乳量に及ぼす影響

 

図3 気温と熱放散の割合
図3 気温と熱放散の割合

 

その他

  • 研究課題名:乳タンパク率向上のための環境制御技術の開発及び栄養管理技術の開発
  • 予算区分 :高品質乳
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~8年度)