水田用農業機械の騒音評価

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要約

現在水田農作業に使用されている主な農業機械の作業時の騒音を測定・評価し作業者への影響を考察し、農作業快適化のための資料を得た。計測した農業機械の中には騒音レベルが100dB(A)を越える大きな騒音を発生する機械があった。90dB(A)を越えると作業能率は落ちるし、通常の音声では会話もできないので、耳栓等の効果的な利用をはかるべきだ。

  • 担当:九州農業試験場・水田利用部・機械化研究室
  • 連絡先:0942-52-3101
  • 部会名:農業機械・土木
  • 専門:作業
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

農作業研究においては省力化、軽労化と共に作業の快適化が求められている。そこで、現在九州地域の水田地帯で主に使用されている農業機械の作業時の騒音を測定し、「日本産業衛生学会許容濃度等委員会勧告基準値」等と比較し、農作業快適化の資料とする。

成果の内容・特徴

水田農作業の耕耘から収穫作業まで、主に使用されている農業機械の作業者(運転者)の耳元における騒音実態を明らかにし、、農業機械騒音の作業者への影響について評価した。

  • 耕耘作業から管理・収穫作業まで一連の農業機械の作業時の騒音(表1)を1時間の暴露時間(表2)と比較すると、コンバイン2機種、背負式動力散粉機、運搬車、刈払い機が許容基準を上回る。
  • 特に、背負式動力散粉機は騒音レベル101dB(A)と非常に大きく、運搬車はアイドリング時の騒音も大きい(表1)。
  • 田植機はいずれも騒音は小さい。
  • キャビン付きトラクタは大型(46PS)にもかかわらず、騒音レベルが83dB(A)と小さく、キャビンの防音効果が明らかである。
  • 90dB(A)を越えるような騒音の大きな機械の使用では耳栓等の効果的な利用も考慮すべきである。

成果の活用面・留意点

農業機械の騒音が作業者に及ぼす影響を回避するような農業機械の使用方法の資料として活用できる。供試農業機械は九農試所有のものであるが、周辺の営農現 場で使用されている農業機械と同様の定格出力である。なお、許容基準値とは、1日8時間作業のうち暴露時間がこの基準値以内であれば常習的に10年以上続 いても聴力障害の可能性が低い騒音としている。

具体的データ

表1 騒音を測定した農業機械の作業条件等とアイドリング時・作用時の騒音レベル
表1 騒音を測定した農業機械の作業条件等とアイドリング時・作用時の騒音レベル

 

表2 騒音の許容基準と供試機械
表2 騒音の許容基準と供試機械

 

その他

  • 研究課題名:農業機械の騒音測定
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成8年度(単年度)