中山間地域振興のための第3セクターの類型化と設立における留意点

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

中山間地域の第3セクターを、目的・機能と管理運営主体から類型化し、第3セクターを設立する際の参考になるように、各類型の特徴と設立プロセスの各段階における留意点を示した。

  • 担当:九州農業試験場・総合研究部・農村システム研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:総合農業(総合研究・経営)、農業経営
  • 専門:経営
  • 対象:
  • 分類:行政

背景・ねらい

中山間地域において、近年、地域活性化、地域資源維持、雇用確保等を目的にして設立される第3セクター(国、地方自治体等の公共部門と民間部門との共同出 資で設立された法人)が増加しているが、その形態、機能は多様である。そこで、実態分析に基づいて、第3セクターを類型化し、市町村が第3セクターを設立 する際の参考となるように、設立における留意点を示す。

成果の内容・特徴

  • 第3セクターは、目的・機能から農林業生産支援型、農山村総合振興型、加工販売・観光型に、管理運営主体(出資金比率、意志決定者等)から行政主導型、協同組合主導型、民間主導型に分類できる。各類型の特徴は、表1の通りである。
  • 第3セクターの設立は、地域課題・地域振興目標の明確化、設立目的の明確化、事業選定、事業ごとの目標設定と事業計画作成、法人形態の決定、組織体制の検討というプロセスを経る必要がある。設立プロセスの各段階における留意点と検討事項を図1に示した。法人形態の決定に際しては、形態ごとに異なる事業展開上の制度的制約(表2)を踏まえる必要がある。
  • 設立において類型ごとに特に留意、検討する必要がある事項は以下の通りである。
    1)目的・機能による類型ごとの留意、検討事項   ・農林業生産支援型:既存組織、農林業者との連携。収益改善。農地法の制約への対応策。
    ・農山村総合振興型:事業の事前評価。能率的な運営体制の確立。人材の確保・育成。
    ・加工販売・観光型:既存組織、農林業者との連携。関係住民への収益還元。
    2)管理運営主体による類型ごとの留意、検討事項
    ・行政主導型:行政からの独立性、主体性の確保。経営者マインド育成。
    ・協同組合主導型:組合員及び組合事業との連携。事業遂行責任及びリスク負担の明確化。
    ・民間主導型:公共性確保のための協定の締結。構成組織からの独立性、主体性の確保。

成果の活用面・留意点

本研究は第3セクターの設立における留意点を整理しているが、運営の見直しを行う場合にも利用することができる。

具体的データ

表1 第3セクターの目的・機能と管理運営主体による類型と特徴
表1 第3セクターの目的・機能と管理運営主体による類型と特徴

 

表2 第3セクターの法人形態ごとの制度的制約
表2 第3セクターの法人形態ごとの制度的制約

 

図1 第3セクター設立のプロセスと留意点
図1 第3セクター設立のプロセスと留意点

 

その他

  • 研究課題名:中山間地域における第3セクターの展開条件の解明
  • 予算区分 :一般別枠(中山間活性)
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)