ホソヘリカメムシ集合フェロモンの一成分による天敵卵寄生峰の誘引

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要約

ホソカメヘリムシ集合フェロモンの一成分である(E)-2-ヘキセニル(Z)-3-ヘキセノエートはホソヘリカメムシを誘引せず、天敵 卵寄生峰カメムシタマゴトビコバチのみをダイズ圃場に早期に誘引する。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・害虫生態制御研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:総合農業(生産環境)、病害虫
  • 専門:作物虫害
  • 対象:豆類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ホソヘリカメムシRiptortus clavatus雄成虫が放出する集合フェロモンはホソヘリカメムシの成・幼虫だけでなく、天敵である卵寄生峰カメムシタマゴトビコバチOoencyrtus nezaraeも誘引する。本集合フェロモンを構成する3種の成分のうち、天敵カメムシタマゴトビコバチのみに誘引効果を示す成分を特定し、天敵カメムシタマゴトビコバチのみをダイズ圃場へ誘引する方法について検討した。

成果の内容・特徴

  • ホソヘリカメムシ集合フェロモンの一成分である(E)-2-ヘキセニル(Z)-3-ヘキセノエート(以下E2HZ3H)は単体ではホソヘリカメムシを誘引せず、天敵カメムシタマゴトビコバチの雌成虫のみを誘引する(表1)。
  • 集合フェロモンまたはE2HZ3Hを処理した圃場では通常のカメムシの飛来時期である夏ダイズの開花~莢伸長期(6月中旬)より以前に天敵カメムシタマゴトビコバチが誘引される(図1)。また、E2HZ3Hを処理した圃場ではホソヘリカメムシは誘引されない(図2)。
  • 以上の結果から、集合フェロモンの1成分であるE2HZ3Hを圃場に処理することによりホソヘリカメムシの飛来前に天敵カメムシタマゴトビコバチだけを圃場に誘引することが可能である。

成果の活用面・留意点

  • E2HZ3Hはホソヘリカメムシを誘引することはなく天敵寄生峰カメムシタマゴトビコバチだけを早期に誘引できることから、防除素材としての利用が期待できる。
  • 圃場内のカメムシ類の卵に対するカメムシタマゴトビコバチの寄生率を高めるようなE2HZ3Hの処理方法について検討する必要がある。

具体的データ

表1 ホソヘリカメムシ集合フェロモンおよびその成分単体による卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチおよびホソヘリカメムシ成虫の誘引
表1 ホソヘリカメムシ集合フェロモンおよびその成分単体による卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチおよびホソヘリカメムシ成虫の誘引

 

図1 吸引粘着トラップによるカメムシタマゴトビコバチ雌成虫捕獲数
図2 ホソヘリカメムシ成虫個体数
図1 吸引粘着トラップによるカメムシタマゴトビコバチ雌成虫捕獲数
図2 ホソヘリカメムシ成虫個体数

 

その他

  • 研究課題名:ホソヘリカメムシ集合フェロモンによるカメムシタマゴトビコバチの行動制御とカメムシ管理技術への応用
  • 予算区分 :大型別枠(生態秩序)
  • 研究期間 :平成8年度(平成8~10年)