挿苗期、収穫期の違いによるカンショ澱粉特性の変化
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要約
挿苗期、収穫期の異なるカンショの澱粉特性は、挿苗期、収穫期が遅くなると、糊化開始温度は低く、糊化熱も小さくなる。
- 担当:九州農業試験場・作物開発部・流通利用研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:食品、流通加工、畑作
- 専門:加工利用
- 対象:いも類
- 分類:研究
背景・ねらい
カロテンやアントシアンを含む有色カンショ粉末はすでに実用化されている。カンショ粉末の主要成分は澱粉であり、安定した物理化学的特性を有したカンショ
粉末を供給していくためには、その原材料であるカンショの澱粉特性を解明することが重要である。カンショの挿苗期、収穫期は栽培地の立地条件で異なるが、
カンショ澱粉特性に与える影響は解明されていない。このため、カンショ澱粉特性と挿苗期、収穫期との関連性について検討する。
成果の内容・特徴
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挿苗期(5月下旬~7月上旬)及び収穫期(9月上旬~11月上旬)の異なるカンショ4品種系統の塊根から調製した澱粉の特性は異なる。
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アミロース含量は、挿苗期、収穫期が遅れると低下する傾向にあるが、その変化は1~2%で、品種系統間の差異に比べて小さい(図1)。
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示差走差熱量計で求めた糊化開始温度は、挿苗期、収穫期が遅れると低下する(図2)。変動幅は摂氏約10度と大きい。糊化熱も、挿苗期、収穫期が遅れると小さくなる(図3)。
成果の活用面・留意点
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カンショ粉末製造工場には、挿苗期、収穫期の異なる原材料のカンショが入ってくると考えられるので、加工素材として利用するにあたっては、挿苗期、収穫期の違いによる澱粉特性の差異も考慮すべきである。
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小麦粉では糊化開始温度の低いものは、一般に麺の食味評価が高いことで知られている。カンショ粉末でも、挿苗期、収穫期の遅いものは、麺の食味評価が優れているか確認する必要がある。
具体的データ

図1 挿苗期、収穫期のアミロース含量に及ぼす影響(1994年栽培)

図2 挿苗期、収穫期の糊化開始温度に及ぼす影響(1994年栽培)

図3 挿苗期、収穫期の糊化熱に及ぼす影響(1994年栽培)
その他
- 研究課題名:かんしょ繊維・澱粉の特性評価
- 予算区分 :大型別枠研究(新需要創出)
- 研究期間 :平成8年度(平成3年~9年)