多収で精麦品質の優れる二条大麦新品種「ニシノホシ」
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要約
二条大麦「ニシノホシ」は、ニシノチカラに比べて短稈で穂数が多く、多収である。大麦縞萎縮病とうどんこ病に強い。精麦品質はニシノチカラより優れ、搗精時間が短く、精麦白度が高い。福岡県、長崎県、大分県で普及に移される。
- 担当:九州農業試験場・水田利用部・麦育種研究室
- 連絡先:0942-52-3101
- 部会名:総合農業(作物生産)、水田作
- 専門:育種
- 対象:麦類
- 分類:普及
背景・ねらい
麦類は重要な土地利用型作物であり、とくに大麦は収穫期が早いことから二毛作体系上有利な冬作物である。現在の主力品種であるニシノチカラは栽培特性や品質が不十分であり、実需者からも外国産大麦に比べて精麦品質が劣ることが指摘されている。そのため、多収で優れた精麦品質を備えたニシノホシを育成した。
成果の内容・特徴
ニシノホシは、西海皮38号(のちのニシノチカラ)/栃系145の交配組合せから育成された系統であり、ニシノチカラに比較して次のような特性を有する。
- 並性の二条皮麦で、焼酎原料用・食糧用の系統である。
- 播性程度はIで、出穂期・成熟期はわずかに早い早生種である。
- 稈長は約10cm短く、短稈で耐倒伏性は同程度である。
- 穂数が多く、穂長は同程度である。
- 収量性は優れ、安定して多収である。
- 耐病性は同程度で、大麦縞萎縮病、うどんこ病に対しては“極強"、赤かび病に対する抵抗性は“やや強"である。
- 外観品質はやや優れ、整粒歩合は高い。
- 搗精に要する時間が短い。欠損粒の発生は同程度に少ない。
- 精麦白度は安定して高く、精麦品質は優れる。
- 穀皮は薄く、蛋白質含有率がわずかに低く、澱粉含有率はやや高い。
成果の活用面・留意点
- 栽培適地は温暖地以西の平坦地。福岡・長崎・大分の3県で普及に移される。
- 栽培上の注意
1春播型の早生種であるので、適期播種につとめ、極端な早播きを避ける。
2千粒重がやや低下しやすいので、排水対策を十分に行い、粒の充実をはかる。
具体的データ

その他
- 研究課題名:大麦の良質安定多収品種の育成・低たん白質二条大麦品種の育成
- 予算区分:経常・新用途畑作物
- 研究期間:平成9年度(昭和61~平成8年)