稲体近傍土壌溶液中NH4-N濃度の低減パターンと水稲根系分布
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要約
最高分げつ期の約10日前の稲体近傍土壌溶液中NH4-N濃度と、溶液採取位置に対応した水稲の伸長方向別冠根数・伸長方向別冠根数割合との間には有意な相関が認められ、土壌溶液中NH4-N濃度を根系分布の品種間差の評価に利用できる。
- 担当:九州農業試験場・水田利用部・栽培生理研究室
- 連絡先:0942-52-3101
- 部会名:総合農業(作物生産)、水田作
- 専門:栽培
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
圃場に生育する水稲の根系分布を把握するためのモノリス観察には多労を要し、多数の品種・系統について検討することは極めて困難である。そこで、稲体近傍における土壌溶液中NH4-N濃度の低減パターンと根系分布との関係を明らかにして、土壌溶液中NH4-N濃度による水稲根系の簡易推定を試みる。
成果の内容・特徴
- 稲体近傍の4地点(図1)における土壌溶液中NH4-N濃度の低減パターンには、明らかな溶液採取地点間差と品種間差が認められる(図2)。
- 最高分げつ期の約10日前の稲体近傍における土壌溶液中NH4-N濃度の低減比(対裸地比)と、採取位置に対応する方向に伸長した最高分げつ期の冠根数との間には有意な相関が認められる(図3)。
- 同時期の土壌溶液中NH4-N濃度の採取地点比と、対応した方向に伸長した最高分げつ期の冠根数が全冠根数に占める割合との間には有意な相関が認められる(図4)。
成果の活用面・留意点
- 特異的な根系分布を持つ品種を含む数品種で両者を調査して回帰式を作成すれば、稲体近傍の土壌溶液中NH4-N濃度の低減比によって根系分布の品種間差を簡易に評価できる。
- 最高分げつ期と出穂2週間後の根系様相は概ね類似しているので、倒伏との関連が強い登熟期の根系も評価できる。
- 速効性肥料を基肥として全面全層施用する必要がある。
- 溶液採取は1000点/日/人程度は可能であり、1日当たり250個体(1品種8個体として30品種程度)を調査できる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:耐倒伏性の生理生態学的解明と検定法の確立
- 予算区分:総合的開発研究(次世代稲作)
- 研究期間:平成9年度(平成7年~9年)