パウダー用高カロテンカンショ新品種候補系統「九州114号」

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

カンショ「九州114号」は塊根中にβ-カロテンを多量に含み、高カロテン系統としては乾物率が高く、パウダー用加工原料に適する。南九州のカンショ作地域に適する。

  • 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室
  • 連絡先:0986-22-1506
  • 部会名:総合農業(作物生産)、畑作    
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:普及

背景・ねらい

南九州では、でん粉原料用カンショの用途転換を図るために様々な利用法が検討されている。最近、有色カンショから高品質なパウダーを生産する技術が開発され、プラントが稼働している。そこで、パウダー用加工原料に適したカロテン含量や切干歩合が高いカンショ品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 切干歩合は「高系14号」並で、既存の高カロテン品種「ベニハヤト」より極めて高 い。
  • カロテン含有量は「ベニハヤト」よりやや少ないが、高い。
  • 収量は「高系14号」並で、「ベニハヤト」より多収である。
  • 蒸しいもの黒変は「中」で「ベニハヤト」より少なく鮮やかな橙色である。
  • 食味は「ベニハヤト」より優れる。
  • 病虫害抵抗性は、黒斑病に「やや弱」、ネコブセンチュウに「強」、ネグサレセンチ ュウに「中」である。
  • 貯蔵性は、「ベニハヤト」や「高系14号」より劣る「やや難」である。

成果の活用面・留意点

  • 南九州のカンショ作地域に適する。
  • 高カロテン、高乾物率であるのでパウダーやペースト加工用に適しているが、焼酎醸造原料用および青果用としても利用できる。
  • マルチ栽培ではいもが長く、かつ曲がりやすいので、掘取を丁寧に行う。
  • 貯蔵性が「やや難」であるので、いもの貯蔵温度に留意する。
  • 黒斑病抵抗性が「やや弱」であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。

具体的データ

表.九州114号の特性概要

その他

  • 研究課題名:暖地向け優良カンショ品種の育成、甘しょのβ-アミラーゼ欠損及び低ポリフェノール品種の開発
  • 予算区分 :経常・大型別枠(新需要創出)
  • 研究期間 :平成9年度(昭和62年~平成2年、平成3~9年)