収量、品質、乾燥速度からみたロールベール用スーダングラスの播種量及び施肥量

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要約

ロールベールサイレージ用スーダングラスの播種量は、収量や乾燥速度からみて、茎の細い品種では春播、夏播とも10a当たり6kg、茎の 太い品種では春播で6kg、夏播で9kg程度が適する。但し、品質を重視する場合にはこれより1、2kg減ずる。また、施肥量(化成・堆肥・ スラリー合計)は硝酸態窒素含量からみてN15kg/10a以下とすることが望ましい。

  • 担当:九州農業試験場・草地部・飼料生産管理研究室
  • 連絡先:096-242-1150   
  • 部会名:草地・生産管理、畜産・草地   
  • 専門:栽培
  • 対象:牧草類
  • 分類:普及

背景・ねらい

西南暖地では、ロールベール技術の普及に伴ってイタリアンライグラス跡や早播トウモロコシ跡にスーダングラスの作付が増えている。そこで、ロールベールサイレージ用に適したスーダングラスの栽培法を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 春播(5月下旬)の収量は、茎の細い品種(HSK1)では播種量間(少:3、中:6、多:9kg/10a)で差がなく、茎の太い品種(SS901)では少播種量で多収である。夏播(7月下旬)では、茎の細い品種は中播種量、茎の太い品種は多播種量でそれぞれ多収である(表1)。
  • 生育は、少播種量では草丈が高く、稈径が太くなる傾向を示す(表1)。
  • 刈取生草の天日乾燥速度は品種間の差が大きく(細茎>太茎)、同一品種内では中、多播種量で速い(図1)。また、稈径と乾燥速度の間には密接な関係があり(図2)、茎が細いほど乾燥速度が優る。従って、ロールベールサイレージ用には茎を細くする多播種量が適する。
  • 材料草の繊維等の品質は、中、多播種量で高消化性画分(OCC+Oa)が低下し、低消化性繊維(Ob)が増大する(表1)。品種別に、高消化性画分は稈径が太いほど増大する関係を示す(図3)。従って、品質面からは茎を太くする少播種量が好ましい。
  • 材料草(春播)の硝酸態窒素含量は窒素施用量(化成・堆肥・スラリー合計)と密接な関係(r=0.94**)を示す(図4)。関係式から、許容水準(NO3-N、乾物0.2%)以下に保つためには窒素施用量を約15kg/10a以下に抑える必要がある。

成果の活用面・留意点

  • 西南暖地のロールベール用スーダングラスの栽培に活用できる。
  • 硝酸態窒素含量に関して、堆肥多投前歴のある圃場では土壌診断に基づいて施肥する。

具体的データ

表1 播種期別の播種量と生育・収量・品質

 

図1 天日乾燥による含水率の推移(期間7/31~8/4、摂氏27.7~29.2度)) 図2 稈径と含水率の関係(含水率・・・刈取4日後)

 

図3 稈径と高消化性画分含有率の関係 図4 窒素施用量と硝酸態窒素濃度の関係

 

その他

  • 研究課題名:ロールベール利用に向けた多種類作型の作出と周年輪作体系の確立
  • 予算区分:総合的開発(高品質輪作・新用途畑作物)
  • 研究期間:平成9年度(平成6~7・8~10年度)