水田と飼料畑で栽培したイタリアンライグラス中の硝酸態窒素とカリウム含量の実態
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
水田で裏作栽培したイタリアンライグラスは、飼料畑で栽培したものより硝酸態窒素とカリウム含量が低い。
- 担当:九州農業試験場・畜産部・上席研究官
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:畜産・草地、総合研究
- 専門:飼養管理
- 対象:家畜類
- 分類:指導
背景・ねらい
西南暖地の酪農経営の中には飼料畑への堆厩肥の連用や、圃場面積に比較し過大の乳牛を飼養する場合が多く、牧草への硝酸態窒素の集積による飼料品質低下が利用上の問題となっている。良質米生産に配慮した水田の裏作にイタリアンライグラスを栽培すれば、飼料畑に比較し硝酸態窒素含量の低い牧草を得られる期待がある。そこで、酪農家の水田裏作と飼料畑栽培のイタリアンライグラスの硝酸態窒素とカリウム含量を調査、比較した。
成果の内容・特徴
- ある酪農家(B)の飼料畑のイタリアンライグラス一、二番草の硝酸態窒素含量は、0.1~0.2%であるが、水田裏作ではともに0.02%以下と極めて低含量である(表1)。
- 対象を拡大し同一地区内の10戸の農家のイタリアンライグラスの硝酸態窒素含量を調査しても、水田の裏作イタリアンライグラスでは飼料畑に比較し低含量である(表2)。
- イタリアンライグラス中のカリウムは硝酸態窒素が極めて低含量であっても約2%含まれ、また、硝酸態窒素含量の増加に比例してカリウム含量も高まる(図1)。
成果の活用面・留意点
- 堆厩肥の連用によって硝酸態窒素等の含量の高いイタリアンライグラスを生産利用し乳牛に健康障害の多発している経営の緊急避難策とする。
- 水田でのイタリアンライグラス二番草への過肥栽培は、水稲へ倒伏等の悪影響を及ぼす可能性があり減肥ぎみの施肥に心がけるか、むしろ一番草のみの収穫にとどめる。
具体的データ


r
その他
- 研究課題名:地域内生産粗飼料の有効利用技術の開発
- 予算区分:営農合理化(地域総合)
- 研究期間:平成9年度(平成5年~9年)