とうもろこし育種試験における茎葉消化性評価のための標準サンプルの作成と利用
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要約
家畜での消化性が明らかなとうもろこし茎葉の高消化性および低消化性の2つの標準サンプルを作成した。これらを用いて茎葉の酵素分析値から概括的に in vivo での消化率とTDN含量を評価できる。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・飼料作物育種研究室、九州農業試験場・畜産部・栄養・飼料研究室
- 連絡先: 0986-22-1506 、096-242-1150
- 部会名:育種
- 専門:育種
- 対象:飼料作物類
- 分類:研究
背景・ねらい
とうもろこし育種試験では、TDN収量は新得方式により、茎葉および雌穂の栄養価には品種間差がないことを前提にホールクロップの栄養価を評価している。しかし、最近、茎葉消化性に顕著な品種間差が確認され、育種試験では原料草について酵素分析値による検定が行われている。一方、家畜による消化性試験成績は、サイレージでは比較的多いが、原料草ではきわめて少ない。そこで、茎葉原料草について酵素分析値から家畜での栄養価を概括的に把握する方法を確立しようとした。
成果の内容・特徴
高茎葉消化性のフリント種改良集団MF93Comp.および低茎葉消化性のデント種F1品種P3358を栽培し、茎葉部のみを黄熟期に収穫して、それぞれを高茎葉消化性標準サンプル(茎葉Hi)および低茎葉消化性標準サンプル(茎葉Lo)とした。in vivo での消化率とTDN含量の調査は、ヤギ5頭を用い全糞採取法で行った。
- 両サンプル間には in vivo 消化率で7.8%、in vivo TDN含量で8.6%の差が見られる(表1)。
- in vivo 消化性と酵素分析での(OCC+Oa)含量(表1)の間には、一般に高い正の相関があることから、両標準サンプルを基準として(OCC+Oa)含量から in vivo での消化 率とTDN含量の品種・系統間差異を概括的に把握することができる(表2),(表3)。
成果の活用面・留意点
- 品質育種での茎葉消化性の評価に活用できる。茎葉Hiおよび茎葉Loの在庫量は各9kgで、配布可能である。
- 最終段階では家畜試験による消化性検定を行うことが望ましい。
具体的データ



その他
- 研究課題名:環境保全機能を持った高品質・超多収トウモロコシ品種の育成
- 予算区分:新用途畑作物・場内プロジェクト
- 研究期間:平成9年度(平成7~10年)
- 研究担当者:伊東栄作、原慎一郎、松崎正敏、柴伸弥、濃沼圭一、池谷文夫
- 発表論文等:トウモロコシ育種母材集団MF93Comp.の飼料特性について、日草誌 42(別) 322-323、1996