線虫寄生性細菌Pasteuria penetransによるカンショのネコブセンチュウの生物的防除

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要約

線虫寄生性細菌Pasteuria penetransを土壌に施用し,カンショを連作すると,5作目においてサツマイモネコブセンチュウによる塊根の収量および品質の低下を,D-D剤処理と同等に抑制することができる。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・線虫制御研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:病害虫
  • 専門:作物虫害
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景・ねらい

サツマイモネコブセンチュウはカンショの塊根収量・品質を低下させる重要な生産阻害要因である。青果用では品質低下を防ぐため,D-D剤等による土壌消毒を欠くことができない。しかし,防除コストの問題とともに環境汚染等の弊害を伴うため,これに代替する線虫防除技術の開発が求められている。そこで,線虫寄生性細菌Pasteuriapenetransを利用したネコブセンチュウの生物的防除法を開発する。

成果の内容・特徴

  • P.penetransをサツマイモネコブセンチュウ増殖圃場に施用(8.4×108endospores/m2,1993年の1回のみ)し,ネコブセンチュウ感受性のカンショ品種「高系14号」を年1作,約150日間栽培で連作すると,P.penetransのサツマイモネコブセンチュウ2期幼虫に対する感染が高まり(表1),5作目には2期幼虫密度が低下し(図1),塊根の収量および品質はD-D剤処理(20l/10a)と同等にまで高まる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • P.penetransはカンショのネコブセンチュウに対して,効果的な防除手段として利用することができる。
  • P.penetransは施用初期段階(3作目まで)の効果が十分ではないため,他の線虫防除手段との体系的利用法の開発が必要である。

具体的データ

表1.サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫におけるP.penetrans付着程度

 

図1の各年内および表1の同一記号間にはTUKEY法により有意差(P=0.05)無し 図2 P. penetransによる塊根増収効果の推移

その他

 

  • 研究課題名:天敵微生物を活用した輪作体系による線虫害防止技術の開発
  • 予算区分:総合的開発研究(高収益畑作)
  • 研究期間:平成9年度(平成4年~9年)