水稲湛水土中点播直播栽培におけるシグモイド型被覆尿素肥料の施肥位置

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要約

水稲の湛水土中点播直播栽培に100日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料を用いると,全面全層施用,すじ状施用,点状施用のいずれも施肥窒素の利用率に差異がなく,同等の収量が得られる。

  • 担当:九州農業試験場・水田利用部・水田土壌管理研究室
  • 連絡先:0942-52-3101
  • 部会名:総合農業(生産環境,総合研究),生産環境,総合研究
  • 専門:肥料
  • 対象:稲類
  • 分類:指導

背景・ねらい

水稲の湛水土中点播直播栽培を施肥作業面から省力化するためには,全生育期間の窒素施肥を基肥のみで施用することが必要となる。その際,肥効調節型肥料を用いることが考えられるが,その肥効は施肥位置により異なる事例が報告されている。そこで,暖地における湛水土中点播直播栽培における100日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料の施肥位置(全面全層,すじ状,点状)の影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 水稲の湛水土中点播直播栽培における,100日タイプ(約45日間は溶出を抑制)のシグモイド型被覆尿素肥料のすじ状(点播種子に沿ったすじ状)施用,点状(点播種子と同位置)施用では,全面全層施用より穂数はやや多くなるが,玄米収量はいずれの施肥位置でも同等である(表1)。
  • すじ状施用,点状施用では,全面全層施用よりも茎数がやや多く推移する。草丈および稈長はほぼ同等である(表2)。
  • 水稲の窒素吸収量及び施肥窒素利用率は施肥位置にかかわらずほぼ同等である(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 暖地水田における湛水土中点播直播水稲の省力施肥技術に活用できる。
  • 水稲湛水直播用代かき同時土中点播機の同時施肥機構開発に活用できる。
  • 溶出特性が本肥料と異なる場合はそれぞれについて検討する必要がある。

具体的データ

表1 水稲の収量および収量構成要素に及ぼす施肥位置の影響

 

表2 水稲の茎数と草丈の推移および稈長に及ぼす施肥位置の影響

 

表3 水稲の窒素吸収量及び施肥窒素の利用率に及ぼす施肥位置の影響

 

その他

  • 研究課題名:良食味水稲の高品質安定生産のための施肥法の検討,代かき同時直播栽培における省力施肥管理技術の開発
  • 予算区分:経常,地域総合
  • 研究期間:平成9年度(平成7~9年)