※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
タンデム型加速器質量分析法(AMS法)は植物細胞オルガネラレベルのアルミニウム(Al)の超微量分析(原子数107個)が可能である。本法により,Al耐性に優れたルジグラスは耐性に劣る大麦に比べての葉ミトコンドリア内にAlが移行集積しやすいことを明らかにした。
タンデム型加速器質量分析法(AMS法)は試料をイオン化,加速し,イオンのエネルギーと運動量から質量(比電荷)を求め,さらに媒体中でのイオンエネルギー損失を測定することで特定の元素の同位体比が分る方法で極微量元素の測定を行う装置である(図1)。半減期が104~108年程度の極微量の放射性同位体の安定同位体に対する同位体比を測定する装置であり,26Alのほか14C/13C測定による年代決定に使用されている。この手法は動物分野ではアルツハイマー研究などに応用され,注目を集めているが,植物のAl研究への応用はほとんどない。現在,細胞オルガネラレベルの研究領域を開拓する手法として注目されはじめた。植物研究領域へのいち早い開発と応用のため,Al耐性作物の細胞オルガネラレベルのAlの分布解明に資するため,そのひとつであるミトコンドリアを例に集積したAlの測定を試みる。
AMS法は原子数を直接測定する原理のため,供試試料量が極微量で済む。放射性同位元素でもバックグランド以下で済み,実験時,法令や安全性は全く問題にならない。