オレンジ色・紫色のカンショパウダー、スティックの退色防止貯蔵技術

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

オレンジ色のカンショパウダー、スティックは大気中の酸素により退色する。その退色を抑制するためには、温度を摂氏15度以下にし、脱酸素状態で、遮光効果のあるアルミ袋等を用いて貯蔵すると良い。紫色のカンショパウダーの場合は通常の冷暗所貯蔵だけで良い。

  • 担当:九州農業試験場・作物開発部・流通利用研究室、九州農業試験場・畑地利用部・作業システム研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:食品、作物生産、流通加工、畑作
  • 専門:加工利用
  • 対象:いも類
  • 分類:普及

背景・ねらい

現在、南九州ではカンショの用途拡大を図るために、β-カロテンやアントシアニンを含むオレンジ色や紫色の有色カンショの高能率な乾燥技術を利用したカンショパウダー製造プラントが稼動している。これら有色カンショパウダーは、食用天然色素あるいは抗酸化能等の機能性を保持した食品素材としての利用が見込まれている。そこで、有色カンショパウダーあるいはスティックを安定供給するための長期貯蔵技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • β-カロテンを含むオレンジ色の「九州114号」由来のカンショパウダー、スティックは、有酸素条件で摂氏15度で140日間貯蔵すると退色する(図1A、B)。特にスティック状態では退色が著しい。
  • オレンジ色のカンショパウダー、スティックの退色を抑制するためには、貯蔵温度を摂氏15度以下に保つ必要がある(図1D)。環境ガスとしては、窒素ガス&st;炭酸ガス<真空の順に退色抑制効果が高い(図1A、B)。また脱酸素剤を封入しても退色を抑えることができる(図1C)。
  • オレンジ色や紫色のカンショパウダーは、紫外線が当たると退色が生じるので(図1E、J)、遮光効果のある袋で貯蔵する必要がある。特に酸素の影響を受けやすいオレンジ色のカンショパウダーの場合には、アルミ袋等を用いて密封することが望ましい。
  • アントシアニンを含む紫色の「アヤムラサキ」由来のカンショパウダー、スティックは、暗黒下であれば有酸素条件でも摂氏15度で140日間退色しない(図1F、G)。

成果の活用面・留意点

  • 有色カンショパウダーの退色防止貯蔵技術は、製造プラントでの実用化が期待できる。
  • アルミ袋を用いる場合には、アルミ箔のラミネートフィルムタイプ、蒸着フィルムタイプのどちらを選択しても良い。
  • 脱酸素剤を用いる場合には、二次加工時に取り除いてから使用することを明記する必要がある。

具体的データ

図1 オレンジ色・紫色のカンショパウダー、スティックの色素安定性

その他

  • 研究課題名:有色系甘しょ乾燥粉末素材の貯蔵特性と抗酸化能保持特性/甘しょの加工条件及び加工適性の解明
  • 予算区分:大型別枠研究(新需要創出)
  • 研究期間:平成9年度(平成7~9年)/(平成6~9年)