紫色のカンショジュース飲用による肝機能要注意者のγ-GTP・GOT・GPT値の低下

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要約

肝機能要注意者の中には、食品である紫色のカンショジュース120mlを毎日連続44日間飲用することにより血清のγ-GTP・GOT・GPTの値が低下する者がいる。そのグループに属する者は肝機能要注意と指摘されてから5年未満の者が多い。

  • 担当:九州農業試験場・作物開発部・流通利用研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:食品、作物生産、流通加工、畑作
  • 専門:加工利用
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景・ねらい

紫色のカンショジュースは、四塩化炭素で引き起こされたラットの肝障害を軽減する。ヒトに対する効果は不明であったため、医師との連携により、肝機能要注意者及び健常者を対象にして、紫色のカンショジュースの血清γ-GTP・GOT・GPT値の低下効果について調べる。

成果の内容・特徴

  • 対象者は本研究の主旨に同意し自らの意志で参加を申し出た有志ボランティア45名である。治療薬は服用していない。この中には過去の健康診断にてγ-GTP、GOT、GPTのそれぞれの値が高く肝機能要注意と指摘を受けた16名(γ-GTP高値者10名、GOT高値者11名、GPT高値者12名)が含まれる(図1)。なおボランティアは、通常の食事・アルコール類等の飲食を維持しながら、紫色のカンショジュース(図2)120mlを肝機能要注意者は毎日連続44日間、健常者は毎日連続28~44日間飲み、一定間隔で採血する計画に対して全員同意している。
  • 紫色のカンショジュース飲用44日後の血清γ-GTP値が飲用前のγ-GTP値に比べて20%以上低下する者は、高γ-GTP指摘5年未満のグループでは4名中4名(図3A)、5年以上のグループでは6名中1名(図3Bの#9)である。
  • 同様に、紫色のカンショジュース飲用44日後に血清GOT・GPT値が20%以上低下する者は、高GOT指摘5年未満のグループでは6名中6名(図3C)、5年以上のグループでは5名中1名(図3Dの#10)、高GPT指摘5年未満のグループでは6名中3名(図3Eの#1、#6、#8)、5年以上のグループでは6名中0名(図3F)である。なお健常者の血清γ-GTP・GOT・GPT値は紫色のカンショジュース飲用後も正常値を保っている。
  • 以上の結果は、肝機能要注意者の中には紫色のカンショジュースの連続飲用により血清のγ-GTP・GOT・GPTの値が低下する者がいることを示す。そのグループに属する者は肝機能要注意と指摘されてから5年未満の者が多い。

成果の活用面・留意点

  • 肝機能要注意者16名での結果であり、普遍的な結論を得るためには大規模集団による試験が必要である。

具体的データ

図1 対象者45名の構成 図2 試験に供した紫色のカンショジュース

 

図3 肝機能要注意者の血清γ-GTP・GOT・GPT値に及ぼす紫色のカンショジュースの飲用効果

 

その他

  • 研究課題名:新規食品加工用素材利用のための高色素系甘しょが保有するラジカル消去能評価手法の開発
  • 予算区分:総合的開発研究(高収益畑作)
  • 研究期間:平成9年度(平成7~9年)