稈の曲げ抵抗によるとうもろこし自殖系統の折損抵抗性検定法

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要約

着雌穂節上部および下部での稈の曲げ抵抗を測定し、下部と比較して上部での曲げ抵抗が大きいことを指標として、着雌穂節の直上部での折損に対する抵抗性の強い自殖系統を選抜することができる。

  • 担当:九州農業試験場・畑地利用部・飼料作物育種研究室
  • 連絡先:0986-22-1506
  • 部会名:草地(育種)、畜産・草地
  • 専門:育種
  • 対象:飼料作物類
  • 分類:研究

背景・ねらい

暖地向き飼料用とうもろこし育種素材の転び型倒伏抵抗性は、最近の育種の進展により大幅に強化されたが、それに伴って折損の発生が増加する傾向にある。とくに、着雌穂節の直上部での折損が多く、その抵抗性評価法の確立が急務となっている。米国では、地際部での折損抵抗性の評価に穿孔抵抗が用いられていることから、その適用を試みたが、着雌穂節直上部での折損抵抗性の評価には有効ではなかった。そこで、F1 親自殖系統を対象に、稈の曲げ抵抗に基づく折損抵抗性の検定法を確立しようとした。

成果の内容・特徴

  • 着雌穂節の上部と下部について、稈の曲げ抵抗(最大荷重)を絹糸抽出期の約20日後にデジタル式荷重計で測定する(図1)。
  • 部位別の稈の曲げ抵抗と着雌穂節直上部での折損個体率との相関は低く、それだけで折損抵抗性を評価することはできない(表1)。
  • 着雌穂節上下間での曲げ抵抗の差を次式で算出し、この値が小さいことを指標に、着雌穂節直上部での折損抵抗性が強い自殖系統を選抜することができる(表2)。 式
  • 稈の曲げ抵抗の差には年次間変動が見られる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 着雌穂節直上部での折損に対する抵抗性の強いF1親自殖系統の選抜に利用できる。
  • 厳密な折損抵抗性の評価には複数年の調査が必要である。

具体的データ

表1 部位別の稈の曲げ抵抗と折損個体率との相関(n=11) 1)
表1 部位別の稈の曲げ抵抗と折損個体率との相関(n=11) 1)

 

図1 曲げ抵抗の測定方法
図1 曲げ抵抗の測定方法

 

表2 自殖系統の稈の上下間での曲げ抵抗の差と折損個体率
表2 自殖系統の稈の上下間での曲げ抵抗の差と折損個体率

 

その他

  • 研究課題名:暖地向き飼料用トウモロコシの障害抵抗性育種法の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成10年度(平成8~10年)