水系に棲息する動物のスクミリンゴガイ捕食能力

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要約

水系に棲む多くの動物がスクミリンゴガイの孵化貝を捕食する。コイ・クサガメ・アイガモなど7種の天敵は殻高20mm以上の成貝も捕食する。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・害虫生態制御研究室
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:総合農業(生産環境)・病害虫
  • 専門:作物虫害
  • 対象:害虫
  • 分類:研究

背景・ねらい

水稲を加害するスクミリンゴガイに対する天敵の有効利用は、環境負荷の少ない防除法として、水田のみならず他の水系においても実現が期待されている。天敵の捕食能力は貝密度の抑制を考える上で重要な要素であるが、関連する知見は極めて限られている。そこで、日本の水系に棲む46種の動物の潜在的な捕食能力を室内実験により調べる。

成果の内容・特徴

  • 様々な大きさのスクミリンゴガイ36個体と、これを捕食する可能性のある動物1個体を60リットルの水槽等で3日間飼育して、捕食された貝の個体数と大きさを調べた(各動物種につき基本的に3反復)。
  • 調査した46種のうち27種が少なくとも孵化貝を捕食する(図1、表1)。
  • そのうち17種の動物が殻高6mm以上の貝を捕食可能であり、さらに7種はほぼ成貝のサイズである殻高20mm以上の貝も捕食する。
  • コイ・アイガモ・クサガメ・ドブネズミは実験に供した貝個体数の7割以上を捕食し、捕食能力が特に高い。

成果の活用面・留意点

  • 人為的な放飼や水系環境の保持・改善により、天敵の捕食圧を利用した貝密度の抑制が期待できる。
  • 天敵の捕食能力は天敵のサイズや供試以前の餌条件により異なる。
  • 天敵を利用する際には在来の生態系に対する影響にも留意すべきである。

具体的データ

図1 各種動物による貝の捕食例(各3反復の平均)
図1 各種動物による貝の捕食例(各3反復の平均)

 

表1 各動物種の捕食能力(捕食された貝の最大殻高と、それ以下の大きさの供飼貝中に占める捕食された貝の割合で分類)
表1 各動物種の捕食能力(捕食された貝の最大殻高と、それ以下の大きさの供飼貝中に占める捕食された貝の割合で分類)

 

 

その他

  • 研究課題名:スクミリンゴガイの在来天敵の有効性の解明
  • 予算区分 :特研(スクミリンゴガイ)
  • 研究期間 :平成10年度(平成9~12年)