日長と温度がスクミリンゴガイの成長と産卵に及ぼす影響
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
スクミリンゴガイ成貝の成長は日長の影響を受けず、産卵は短日下、特に短日・低温下において産卵頻度や総産卵数が低下する。また、1卵の重さは日長の影響を受けず、低温下において重くなる。
- 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・害虫生態制御研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:総合農業(生産環境)・病害虫
- 専門:作物虫害
- 対象:害虫
- 分類:研究
背景・ねらい
水田生態系におけるスクミリンゴガイの個体群動態の解明が進められるなかで、日長等の季節的な要因が貝の成長や繁殖に影響を及ぼす可能性が指摘されている。一方、淡水産の貝の繁殖に及ぼす日長の影響を述べた報告は殆ど見られない。そこで、野外から採集した成貝を異なる日長と温度条件下で飼育し、実験的にそれらの影響を調べた。
成果の内容・特徴
-
成貝の体重の増加は、長日下 (14時間明期) と短日下 (10時間明期) の間で差は見られず、日長の影響を受けない (図1)。
-
雌成貝の産卵数は、長日下よりも短日下で少なく、その差は低温下 (摂氏22.5度) で大きい (図2)。また、産卵頻度 (飼育開始第5週以降の平均卵塊数) も低温・短日下で低い (図3)。
-
1卵の平均重量は、日長の影響を受けず、高温下 (摂氏30.0度) よりも低温下で重くなる (図4)。
成果の活用面・留意点
-
スクミリンゴガイの個体群動態を解明する上で不可欠な基礎データとなる。
具体的データ

図1 各温度条件下における雌貝の成長

図2 各温度条件下における1雌当りの産卵数

図3 各条件下における産卵頻度(飼育後半期(第5週以降)の平均卵塊数)

図4 各条件下における1卵当り平均重量
その他
- 研究課題名:水田における加害行動と繁殖生態の解明
- 予算区分 :特研(スクミリンゴガイ)
- 研究期間 :平成10年度 (平成9~12年)