九州・沖縄の各種農耕地土壌の硬化特性

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要約

九州・沖縄の農耕地土壌には、乾燥に伴い、硬度や一軸圧縮強度が農業上問題となるレベルまで増大する土壌と増大しない土壌がある。前者の土壌微細形態はバグ状構造で、後者は海綿状や小粒状の構造である。乾燥に伴い硬化する土壌でも、再水漬すると土塊の強度は著しく低下する。

  • 担当:九州農業試験場・生産環境部・土壌資源利用研
  • 連絡先:096-242-1150
  • 部会名:農業環境(資源特性)、生産環境
  • 専門:土壌
  • 対象:
  • 分類:研究

背景・ねらい

乾燥に伴う土壌の硬化は、耕耘時の砕土性や作物根の伸長を悪化させる。本課題では、九州・沖縄の農耕地土壌各種の乾燥や湿潤に伴う硬化特性ならびに砕易化特性を、一軸圧縮強度特性、山中式硬度、土壌微細形態などの関係を解析することにより、明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 九州・沖縄の農耕地土壌の5土壌群6試料を供試した(表1)。そのうち、赤色土B(国頭マージ)、暗赤色土(島尻マージ)、陸成未熟土(ジャーガル)、低地水田土は、生土の状態では土塊の一軸圧縮強度(kg/平方センチメートル)が3以下であるが、風乾すると含水比の減少に伴い8~25に増大する(図1)。また山中式硬度(mm)も一軸圧縮強度と同様に、風乾に伴い増大し、29以上になる(図2)。これらの土壌の、風乾時の一軸圧縮強度と山中式硬度は、耕起の際の砕土性や作物根の伸長上で大きな問題となる範囲にある。黒ボク土と、細礫を多く含む赤色土Aは、生土と風乾いずれの状態でも、一軸圧縮強度も山中式硬度も非常に小さい。
  • 土壌の硬化特性と微細形態の間には密接な関係が見られる。赤色土B、暗赤色土、陸成未熟土、低地水田土では孔隙が少ないバグ状微細構造が主体であるのに対し、黒ボク土と赤色土Aでは孔隙が多い海綿状や小粒状の微細構造である。(表1、図3)
  • どの試料も風乾に伴う土塊の収縮率は小さく、硬化と収縮の間の関係は見られない(表1)。風乾した土塊を再び水漬すると、どの試料も強度が著しく低い値となる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 硬化ならびに砕易化特性の面から各種農耕地土壌を評価する際に活用できる。
  • 低地水田土や暗赤色土でも礫や砂が多い場合などは、硬化特性は今回の結果と異なると考えられる。

具体的データ

表1 供試土壌の物理性と微細形態
表1 供試土壌の物理性と微細形態

 

図1 含水比と一軸圧縮強度の関係
図1 含水比と一軸圧縮強度の関係

 

図2 一軸圧縮強度と山中式硬度の関係
図2 一軸圧縮強度と山中式硬度の関係

 

図3 微細構造型の模式図
図3 微細構造型の模式図

 

その他

  • 研究課題名:九州の各種土壌の硬化・砕易特性の解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成10年度(平成7~10年)
  • 研究担当者:久保寺秀夫、山田一郎、松永俊朗