ロータリ耕うんによるスクミリンゴガイの密度低減
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要約
ロータリ耕うんで土中越冬しているスクミリンゴガイを殺貝し密度低減する場合、硬い土(水稲作後)を、浅起こしで耕うんピッチをできるだけ小さくし、1度に砕土を行うのが効果的である。
- 担当:九州農業試験場・水田利用部・機械化研究室
- 連絡先:0942-52-3101
- 部会名:農業機械・土木
- 専門:機械
- 対象:稲類
- 分類:指導
背景・ねらい
水稲の生育初期の食害が問題となっているスクミリンゴガイを、既存のロータリ耕うんで効果的に殺貝するため、移動型土槽実験装置を用いて土壌状態、耕うん作業速度、耕うん深度と殺貝効果の関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
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殻高(貝殻の長辺方向の大きさ)が大きいほど殺貝は容易である(図1)。
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軟らかい土(麦後想定、山中式硬度平均;4.3mm)より硬い土(水稲後想定、同;20.6mm)の方が殺貝効果が高い(図2)。
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耕うん作業速度25cm/s(耕うんピッチ;37.5mm)と15cm/s(耕うんピッチ;22.5mm)の比較では、同じロータリ回転数ならば耕うん作業速度は遅く、耕うんピッチが小さい方が殺貝効果がやや高い(図3)。ロータリ回転数はできるだけ高い方が望ましい。
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耕うん深度12cmと6cmの比較では、耕深による殺貝効果の違いはほとんどない(図4)。
成果の活用面・留意点
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スクミリンゴガイの多発水田の耕うん作業に活用できる。
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1度荒く耕起を行うと2度目の耕起は殺貝効果が小さくなる。
- 殻高が15mm程度より小さい貝の殺貝は現状では不十分である。
なお、この試験に使用したロータリは既存の機械(Y式ワイド600)で、耕幅60cm、ナタ爪18本、回転数400rpmである。黒ボク水田土壌を用い反復4回実験を行った。
具体的データ

図1 ロータリ耕うん時の殻高と殺貝率の関係

図2 土壌の硬さと殺貝率の関係

図3 耕うん作業速度と殺貝率の関係

図4 耕うん深度と殺貝率の関係
その他
- 研究課題名:スクミリンゴガイの機械的防除技術の開発
- 予算区分 :スクミリンゴガイ
- 研究期間 :平成10年度(平成9年~12年)