新規開発の制限酵素断片長多型(RFLP)マーカーを含むオオムギRFLP地図
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要約
日本の二条ビールオオムギ「交A」と中国在来の六条オオムギ「木石港3」のF2個体を用い、86の新規オオムギRFLPマーカーを開発し、218座位からなる全長1400cMのRFLP地図を作成した。
- 担当:九州農業試験場・作物開発部・育種工学研究室、キリンビールビール醸造研究所、サッポロビール植物工学研究所、科学技術振興事業団、九州大学
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:生物資源・生物工学
- 専門:分子育種
- 対象:麦類
- 分類:研究
背景・ねらい
わが国ではオオムギのRFLP地図は構築されてなく、オオムギの有用形質遺伝子をマップするには、海外のRFLPマーカー利用に依存している。しかし、海外のオオムギRFLPマーカーは200余りが公開され利用可能であるが不十分な数である。このため、わが国のオオムギRFLPマーカーを開発し、既存の海外RFLPマーカーを加えたRFLP地図を作成し、オオムギ有用形質遺伝子のマッピングに資する。
成果の内容・特徴
- 日本の二条ビールオオムギ「交A」と中国在来の六条オオムギ「木石港3」のF2120個体、RFLP検出に6種類の制限酵素(BamHI,Bgl[II],DraI,EcoRV,Hind[III],XbaI)を使用。
- 既存の海外RFLPマーカーは米国ワシントン大のDr.Kleinhofs(NABGM),ドイツ・Dr.Graner(MWG)及びコーネル大学より分譲されたものを、さらに新たに交A由来のHpa[II]ゲノミッククローン(JBGマーカー)とドイツ品種Igriカルス由来のcDNAクローン(JBCマーカー)を使用。3.5μg/レーンのゲノミックDNAを用いてRFLPマーカーを非アイソトープ標識法(DIG法、ECL法)で標識してサザンハイブリダイゼーション分析し、RFLPマーカーのF2集団内の分離を調査。
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遺伝子連鎖分析はMAPMAKER2.0を用い、連鎖の有意性を示す最小LOD値は3.0とする。
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既存の88のRFLPマーカーと、新規な57のJBGマーカーと29のJBCマーカーがRFLPを示し、計218座位からなる全長1400cMのRFLP連鎖地図を作成(図1)。
成果の活用面・留意点
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開発したRFLPマーカーはオオムギの有用形質遺伝子のマッピングに利用できる。
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海外における既存の公開RFLPマーカーを入手する場合は開発者に分譲依頼する。
- 担当:新規RFLPマーカーは九州農業試験場作物開発部育種工学研究室が公開する。
具体的データ

図1 二条ビールオオムギ「交A」と六条オオムギ「木石港3」のF2集団を用いて作成したオオムギRFLP地図
その他
- 研究課題名:ゲノムサイズの大きい作物における非アイソトープ法による高感度遺伝子分析法の確立.金属ストレス分子応答に関する遺伝子制御解析
- 予算区分 :交流共同研究・経常
- 研究期間 :平成10年度(平成6~10年)