水田雑草キシュウスズメノヒエの早期水稲刈跡における防除

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

キシュウスズメノヒエの茎は乾燥によって死滅するが、耕耘による切断と土中への埋没では防除できない。早期水稲刈跡では、非選択性除草剤による防除効果が高く、グリホサート液剤、グルホシネート液剤、ビアラホス液剤が有効である。

  • 担当:九州農業試験場・水田利用部・雑草制御研究室
  • 連絡先:0942-52-3101
  • 部会:総合農業(作物生産)、水田作
  • 専門:雑草
  • 対象:雑草類
  • 分類:研究

背景・ねらい

九州地域の水田で発生が増加傾向にあるキシュウスズメノヒエに対する防除方法の確立は急務である。特に、早期水稲栽培地帯では刈跡で繁茂し、翌年の繁殖源となっている。そこで、刈跡における耕耘や非選択性除草剤の利用による防除効果を検討する。

成果の内容・特徴

  • キシュウスズメノヒエ切断茎は水分含有率10%以下で完全に死滅するが(図1)、土中に埋没した場合はほとんど死滅せず、耕耘による切断や土中への埋没では防除できない(表1)。
  • 刈跡に再生したキシュウスズメノヒエの防除に吸収移行型の非選択性除草剤が有効で、グリホサート液剤、グルホシネート液剤、ビアラホス液剤が効果的である(表2)。
  • グリホサート液剤は翌年の発生まで抑えることができる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • キシュウスズメノヒエのみが多発した水田では耕耘せずに、稲刈り1~2カ月後にキシュウスズメノヒエの再生茎が稲わら等よりも上に出てから非選択性除草剤を散布する。
  • 刈跡にキシュウスズメノヒエ以外の草種が混生し、耕耘が必要な場合には耕耘し、耕耘1カ月後頃に非選択性除草剤を散布する。
  • 非選択性除草剤は気温が低下してからの処理では効果が劣るので、北部九州では遅くとも10月中旬までに処理する。

具体的データ

図1 キシュウスズメノヒエ切断茎の生存に及ぼす乾燥の影響表1 キシュウスズメノヒエ切断茎の生存率*に及ぼす土中への埋没の影響

 

表2 刈跡に再生したキシュウスズメノヒエに対する非選択性除草剤の殺草効果

 

表3 刈跡に再生したキシュウスズメノヒエに対するグリホサート液剤の殺草効果

その他

  • 研究課題名:早期水稲栽培田における多年生雑草の栄養繁殖器官の密度低減技術の確立
  • 予算区分:先端技術開発研究
  • 研究期間:平成11年度(平成9~11年)