水稲直播用代かき同時土中点播機の改良による点播形状・点播株率の向上

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要約

第2ブラシの追加と新型ディスクケースの採用により,代かき同時土中点播機で播種された水稲の点播形状は長径10.3cmから7.2cmに,点播株率(長径が10cm以下の株の割合)は50%から90%に改善される。

  • 担当:九州農業試験場・総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:0942-52-3101
  • 部会名:総合研究、農業機械・土木
  • 専門:機械
  • 対象:稲類
  • 分類:普及

背景・ねらい

水稲の代かき同時土中点播直播栽培技術においては,耐倒伏性を高める上で点播形状および点播株率の向上は重要な要素であるが,従来までの播種機では播種作業の高速化に対応できず,点播形状が進行方向に長形化したり,点播株率が低下しやすい。そこで,1m/s程度の播種作業速度でも良好な点播形状が維持されるように播種機および打込みディスクの改良を行う。

成果の内容・特徴

  • 播種ロールから落下する一群の種子が播種ロール直下の定点を通過する時間(種子通過時間)は,第2ブラシがある場合は重力および遠心力による種子の落下が抑制されるため,第2ブラシが無い場合の45~84%となり,播種機から落下する種子の「ばらつき」が小さくなり点播形状が改善される(図1,図2)。
  • 新型のディスクケースでは,種子導管から打込み管へのラインを直線的にすることで播種ロールから落下した種子が打込みディスクに衝突後種子導管側に跳ね返される割合が少なくなり点播形状が改善される。この割合は,旧型ディスクケースではディスクの鋸歯先端の厚みが大きいほど,またディスク回転数が低いほど高くなるが,新型のディスクケースでは打込みディスクの形状に関係なくほとんど見られない(図1,図3)。
  • 以上のように,第2ブラシの追加と新型ディスクケースの採用により、播種ロール回転数50~100rpm,作業速度0.5~1.0m/sの場合,播種機の点播形状は長径10.0~10.7cmから6.8~7.8cmへ,点播株率は46.9~57.1%から79.4~96.9%へ改善され,播種作業の高速化に対応可能となる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 本方式によって点播形状の安定化及び播種作業速度の高速化が図られる。
  • 本方式を採用した播種機は平成11年度から市販されている。

具体的データ

表1.点播形状・点播株率

 

図1.播種機の概要(右は改良後)

 

図2.第2ブラシの無(左図)有(右図)と種子通過時間の関係(播種ロール回転数75rpm)

 

図3 ディスク内での種子の挙動及びカルパー剥離率調査結果

 

その他

  • 研究課題名:水稲代かき同時土中点播直播の高速化及び1工程化技術の開発
  • 予算区分:交流共同研究
  • 研究期間:平成11年度(平成9~11年)