暖地向き半糯水稲新品種「柔小町」

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要約

水稲新品種「柔小町」はアミロース含量が13%前後の半糯品種で、飯米の粘りが強く良食味であり、他品種とのブレンド適性も良好である。「ニシホマレ」と同程度の中生の熟期で、暖地の普通期作に適する。

  • 担当:九州農業試験場・水田利用部・稲育種研究室
  • 連絡先:0942-52-3101
  • 部会名:総合農業(作物生産)、水田作
  • 専門:育種
  • 対象:稲類
  • 分類:普及

背景・ねらい

半糯(低アミロース)米は一般に、飯米の粘りが強く食味が良好なことや炊飯後の米飯の老化が少なくて加工適性も優れることから、近年、各地域で新品種が育成されている。九州地域においてもミルキークイーン等が栽培されているが、既存の半糯品種はほとんどが九州地域では極早生の熟期に属し、当地域の普通期栽培には適していない。そこで、中~晩生で栽培特性が良好な暖地向き半糯品種の育成を図った。

成果の内容・特徴

  • 「柔小町」はニシホマレ/探系2021(金南風の低アミロース突然変異)の組合せから育成された半糯の水稲品種である。
  • 出穂期・成熟期とも「ニシホマレ」とほぼ同じで、育成地では“中生の晩”に属する。
  • 稈長は「ニシホマレ」より短く、穂長はやや長く、穂数は同程度かやや多い。草型は“中間型”で、耐倒伏性は「ニシホマレ」よりやや弱く“中”である。
  • いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia”と推定され、圃場抵抗性は、葉いもちには“やや弱”、穂いもちには“中”である。白葉枯病には“やや弱”である。
  • 収量性は「ニシホマレ」と同程度である。玄米は粒形は“中”、粒大は“やや小”で、年によっては半糯品種特有の白濁を生じ、外観品質は“中の中”である。アミロース含量は13%前後で半糯品種としては高い。
  • 食味は粘りが強く良好であり、ブレンド米としての適性も高い。

成果の活用面・留意点

  • 「柔小町」は平成11年3月に品種登録を行った(品種登録番号第7084号)。今回、命名登録を申請し、暖地向き半糯品種として本格的な普及を図る。
  • 耐倒伏性は強くないので施肥量はヒノヒカリに準じる。
  • 「柔小町」の玄米の白濁程度は登熟気温による影響が大きく、出穂後30日間の日平均気温が摂氏23度越えると玄米が白濁しやすくなる。
  • いもち病抵抗性および白葉枯病抵抗性は不十分なので、常発地帯での作付は避けるとともに、慣行の防除を行う。

具体的データ

表1 柔小町の特性一覧表

その他

  • 研究課題名:暖地向き複合病害虫抵抗性、新規形質、直播適応性品種の育成
  • 予算区分:次世代稲作、新形質、経常
  • 研究期間:平成11年度(昭和63~平成11年)