高品質なさとうきび新品種候補系統「KY88T-520」

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要約

さとうきび「KY88T-520」は「NiF8」より蔗汁糖度、純糖率、可製糖率が高く高品質である。風折抵抗性が強い。茎が適度に軟らかいために刈り倒しが容易で、3月以降の側枝発生が少ない等、収穫作業適性が優れる。

  • 担当:九州農業試験場・作物開発部・さとうきび育種研究室
  • 連絡先:09972-5-0100
  • 部会名:総合農業(作物生産)、畑作
  • 専門:育種
  • 対象:工芸作物類
  • 分類:普及

背景・ねらい

鹿児島県熊毛地域では高糖性基幹品種「NiF8」の普及面積が98%を越えるが、より高品質な品種を求める声が強い。また3、4月に側枝の発生が多いために収穫がしにくい等の問題がある。そこで、「NiF8」より糖度、純糖率、可製糖率が高く、収穫作業がし易い品種を育成し、品質の向上と生産の安定を図る。

成果の内容・特徴

  • 「KY88T-520」は、国際農研センター沖縄支所(石垣島)で「KF78-81」を母本とした自然受粉により採種し、昭和63年(1988)に九州農試で選抜を開始して育成した系統である。
  • 蔗汁糖度、純糖率及び可製糖率が「NiF8」より高く、高品質である。
  • 風折抵抗性(耐風性)は「NiF8」より強く、「極強」である。
  • 脱葉調整作業のし易さは「NiF8」に比べやや劣るが、茎が軟らかく刈り倒し易いため、実際に収穫してみると「NiF8」より作業がし易い。3月以降も側枝の発生がほとんどないため、「NiF8」よりさらに収穫し易い。

成果の活用面・留意点

  • 鹿児島県が熊毛地域(種子島)向け奨励品種として採用を予定している。本系統の採用で、品質の向上、収量の安定、収穫作業の軽労化が図られ、さとうきび生産の拡大が期待される。
  • 黒穂病に弱いため、黒穂病が発生した地域での栽培は控える。

具体的データ

表1 さとうきび新品種候補系統「KY88T-520」の特性概要

その他

  • 研究課題名:さとうきび良質安定多収機械化適応品種の育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(昭和42~平成12年)