でん粉原料用カンショ新品種候補系統「九州126号」
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要約
カンショ「九州126号」は、上いも収量やでん粉歩留がともに高いため、単位面積当たりのでん粉生産能力が非常に優れる。でん粉原料用として、南九州のカンショ作地域に適する。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室
- 連絡先:0986-22-1506
- 部会名:総合農業(作物生産)、畑作
- 専門:育種
- 対象:いも類
- 分類:普及
背景・ねらい
南九州の畑作農業は、でん粉原料用カンショの生産を軸として地域経済の維持、発展に貢献してきた。しかし、でん粉の輸入自由化によって生産が停滞し、地域経済に深刻な影響を及ぼしつつある。この状況を打開するためには、原料いもを低コストで生産する必要があり、現在のでん粉原料用の代表的品種である「コガネセンガン」より、高でん粉、多収で、単位面積当りのでん粉生産能力が優れる原料用品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「九州126号」は、平成2年に「ハイスターチ」を母、「九系82124-1」を父として交配し、選抜した系統である。
- 上いも重は、「コガネセンガン」より10~20%(育成地)高い。
- 切干歩合(乾物率)、でん粉歩留は、「コガネセンガン」や「シロユタカ」より2~3ポイント高い。
- でん粉重は、「コガネセンガン」より20~30%(育成地)高い。
- 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「やや強」、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「やや弱」である。
- 貯蔵性は、「シロユタカ」より劣り、「コガネセンガン」並の「やや難」である。
成果の活用面・留意点
- 南九州のでん粉原料用カンショ作地域に適する。
- 貯蔵性が「やや難」であるので、収穫作業やその後の取り扱いを丁寧に行い、いもの貯蔵温度に留意する。特に掘取りが遅れると、軟腐病によるいもの腐れが発生しやすいので、掘取時期に留意する。
- ミナミネグサレセンチュウ抵抗性が「中」、黒斑病抵抗性が「やや弱」であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。
具体的データ

その他
- 研究課題名:暖地向け優良カンショ品種の育成
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成11年度(昭和62年~平成11年)