粗飼料摂取割合の高い肥育牛の皮下脂肪に共役リノール酸が多く含まれる
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要約
抗ガン作用などの機能性を有する共役リノール酸(CLA)は牛の皮下脂肪に多く含まれる。また、肥育では飽食条件で飼養される場合がほとんどであるが、個体によって飼料摂取状況は異なり、粗飼料の摂取割合が多い肥育牛においてCLA割合が高くなる。
- 担当:九州農業試験場・畜産部・栄養・飼料研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:畜産、畜産・草地
- 専門:飼育管理
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
近年、反芻家畜の生産物に特異的に含まれ、抗ガン作用や脂肪蓄積抑制(ダイエット効果)などの機能性を有する共役リノール酸(CLA)が注目されている(図1)。本課題では、稲ワラと濃厚飼料飽食という慣行的な肥育を行った和牛の枝肉脂肪におけるCLA含量を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 稲ワラと濃厚飼料飽食の肥育を15ヵ月齢から26ヵ月齢まで実施した黒毛和種去勢牛8頭(平均体重:670±79kg)の枝肉脂肪におけるCLA割合は、皮下脂肪が0.44、筋間脂肪が0.34および腎臓脂肪が0.25%となり、各組織間に1%水準の有意差が認められた(図2)。
- CLA割合における皮下脂肪と筋間脂肪との間の相関係数は0.897となり、有意な正の相関が認められた。
- 腎臓脂肪におけるCLAと不飽和脂肪酸割合との間に有意な正の相関(r=0.733) が認められた。
- 肥育期間(11ヵ月間)の各牛の飼料摂取量(DM)に占める粗飼料の割合と、各脂肪組織のCLA割合との間の相関係数を求めたところ、皮下脂肪、筋間脂肪、腎臓脂肪は、それぞれ0.761、0.658、0.393となった。CLA含有量の最も多い皮下脂肪において、有意な正の相関を示した(図3)。
成果の活用面・留意点
- CLAは、牛肉販売時に用いられる付け脂の内臓脂肪よりも皮下脂肪に多く含まれる。
- CLA割合の高い牛肉生産のためには、肥育牛に粗飼料を食い込ませることが不可欠である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:粗飼料機能を活用した高付加価値牛肉の生産技術の開発
- 予算区分:畜産対応研究
- [自給飼料基盤]
- 研究期間:平成11年度(平成10~12年度)