堆肥の悪臭吸着能を活用した堆肥化過程における悪臭低減化技術
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要約
堆肥化原材料と同体積の出来上がり堆肥に一次発酵1,2週目の悪臭を再吸着させることで、約9割のアンモニアと4割以上の硫黄化合物を除去できる。
- 担当:九州農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:畜産・草地
- 専門:環境保全
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
家畜排泄物の堆肥化処理過程で発生する臭気は、極めて高濃度で不快なため、苦情を招くことが多い。特に、堆肥化過程では、大量のアンモニアが発生する。脱臭には生物脱臭方式が多く用いられているが、設備費が高く、脱臭処理したアンモニアを肥料的に再利用できない。そこで、通気型発酵方式の堆肥化過程における低コストな悪臭防止技術を確立する。
成果の内容・特徴
- オガクズ牛糞堆肥を通気発酵させる場合、悪臭物質の発生量はアンモニアが非常に多く、4週間の発酵期間の内初めの2週間で全アンモニア量の90%が発生する。特に、堆肥化開始時と毎週の切返し後に発生量が多く、1,2週目の最初の3日間で全体の約80%が発生し、この時期のアンモニアの除去が重要である(表1)。
- 堆肥化1,2週目槽からのアンモニア発生量の多い時期の悪臭を、原材料と同体積の出来上がりオガクズ牛糞堆肥を吸着剤として利用すると、約95%のアンモニア(一次発酵期間における全アンモニア発生量の約76%に相当)及び40%以上の硫黄化合物を除去できる(図1)。
- 悪臭防止法規制上限値に対する吸着前の悪臭物質濃度はアンモニア176倍、メチルメルカプタン79倍と、これらの物質が規制値よりも非常に高い濃度で排出される。しかし、これらの濃度は、出来上がり堆肥を通過させることで、それぞれ8倍、46倍に低減化できる(図2)。
成果の活用面・留意点
- 悪臭が高濃度から低濃度へ移行した時の処理方法、及び出来上がり堆肥の脱臭効果の持続性について検討が必要であるが、堆肥化過程における脱臭装置の設計における基礎的資料として活用できる。
- 低級脂肪酸の吉草酸が、わずかに増加する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:家畜排泄物処理過程における臭気発生防止システムの構築と実証
- 予算区分:総合的開発(家畜排泄物)
- 研究期間:平成11年度(平成9~11年)