イチゴ作雇用の作業種類別・作付規模別特質に対応した労働力支援組織
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
イチゴ作雇用の作業種類別・作付規模別特質の違いにより、適合的な労働力支援組織は異なる。シルバー人材センターは、雇用ピークが高く、熟練度や労働強度を必要 としない作業に、JA無料職業紹介は、雇用期間が長く、熟練度、労働強度が必要な作 業に、任意雇用グループは、作業時期が不定で、雇用ピークが高く、熟練度が必要な作 業に適している。
- 担当:九州農業試験場・総合研究部・農村システム研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:農業経営
- 専門: 経営
- 分類: 研究
背景・ねらい
施設園芸作なかでも雇用の季節性が著しい作物においては、個別的な雇用確保が困難になってきており、JA無料職業紹介をはじめとする労働力支援組織による雇用確保が必要になっている。そこでイチゴ産地であるK農協管内の分析を通じ、雇用の特質の違いによってどのような労働力支援組織が適しているかを明らかにした。
成果の内容・特徴
- K農協管内にはシルバー人材センター、JA無料職業紹介、任意雇用グループの3つの労働力支援組織があり、それぞれ表1に示したような特徴を持つ。
- イチゴ作雇用は作業種類別・作付面積規模別に異なった特質を持っており、適合的な労働力支援組織は以下のように異なる(表2・表3)。定植の雇用は、作業時期の不定性と労働強度の強さを特質として持つことから、個別雇用の割合が高い。大規模層では任意雇用グループも活用されているが、これは、上記特質に加えて、雇用ピークの高さに対応する必要があるためである。栽培管理の雇用は、労働力支援組織の選択に大きな影響を与えるような特質を持たないため、様々な手段で雇用確保が図られる。しかし、大規模層は、作業時期の不定性への対応と熟練度を重視するため、個別雇用と任意グループが選択される。収穫の雇用は、熟練度を必要とする作業であるため雇用を比較的多くの農家が必要とする大規模層では、個別雇用と任意雇用グループが選択される。出荷調製の雇用は、熟練度を必要とし、雇用期間が長いため、個別雇用とJA無料職業紹介が選択される。大規模層は特に、この作業に熟練度を要求するため、信頼できる被雇用者を確保できる、個別雇用に偏る傾向がある。
- 以上より、各労働力支援組織は、次のような特質を持つ雇用の確保手段として適している。シルバー人材センターは、雇用ピークの高い、熟練度、労働強度をさほど必要としない作業に、JA無料職業紹介は、雇用期間が長く、熟練度、労働強度が必要な作業に、任意作業グループは、適期の集中性、雇用ピークの高さ、熟練度が必要な作業に適合する。なお、個別雇用は、雇用期間が長く、作業の不定性があり、熟練度や労働強度が必要な作業に適合する。
成果の活用面・留意点
他地域における労働力支援組織の活用方策を研究する際に、どのような特徴を持つ労働力支援組織を導入するべきかの参考資料となる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:雇用労働力需給調整組織の運営実態と活用方策の解明
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成11年(平成9~11~13年度)