近赤外分光分析法によるソバ粉成分の簡易迅速測定
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
近赤外分光分析法により、ソバ粉中の水分・脂肪・蛋白質含量が、簡易・迅速・非破壊的に測定できる。
- 担当:九州農業試験場・作物開発部・上席研究官、資源作物研究室
- 連絡先:096-242-1150
- 部会名:食品、作物生産、流通加工、畑作
- 専門: 食品品質、育種
- 対象: 雑穀類
- 分類: 指導
背景・ねらい
ソバは、日本人の嗜好にあった、機能性の高い、すぐれた食品原料であり、水田利用に適した作物として注目を集めている。育種や加工の現場においては、選抜・品質管理の効率化のため、ソバ粉中の成分含量の簡易迅速測定が望まれる。さまざまなソバの品種・系統(各種2圃場でのランダムブロックデザインによる繰り返し栽培(表1))に適応可能な、近赤外分光分析法によるソバ粉の水分・脂肪・蛋白質含量の簡易迅速測定法を開発する。
成果の内容・特徴
- ソバ・ダッタンソバをブラベンダー・テスト・ミルで製粉し、標準カップに充填して近赤外スペクトルを測定する。
- 平成8年産ソバを用いての近赤外分光分析について、ソバだけを試料として得た成分推定式(キャリブレーション式、検量線)を、ソバ・ダッタンソバを込みにした試料に適用すると、ソバだけに適用した場合よりも、予測(プレディクション)の推定誤差(SEP)が、若干大きくなる(表2)。ソバ・ダッタンソバを込みにした試料で得た成分推定式を、ソバのみ、およびソバ・ダッタンソバ込みの試料に適用しても、精度の低下はない(表2)。
- 平成8年産のソバ・ダッタンソバ込みで算出したキャリブレーション式を平成9年産のものの推定に用いた場合、ずれ(バイアス)やゆがみ(スキュー)の問題があるが、成分含量の相対的な大小関係は推定できる。さらに、バイアス補正すると、予測の推定誤差は、水分:0.15、脂質:0.10、蛋白質:0.44%となる。
- 平成9年だけのデータで解析すると、予測の推定誤差は、水分:0.23、脂質:0.10、蛋白質:0.30%となる。
- 平成8年と平成9年を統合して解析すると、予測の推定誤差は、水分:0.15、脂質:0.10、蛋白質:0.39%となる(表3、図1)。
成果の活用面・留意点
- 近赤外分析器は、広く導入されており、この方法で得た成分値を指標に用いると、育種選抜、流通過程の品質評価、製造工程の品質管理の効率が向上する。
- 近赤外分光分析法は、一般成分の分析に非常に有効な方法であり、ソバ粉中の主要3成分が、数秒で高い精度で推定できる。
- 年次変動によるずれ(バイアス)やゆがみ(スキュー)の問題があるが、相対的な成分含量の概要は把握できる。
- より幅広い集団に適用可能な成分推定式が確立には、データの蓄積が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:ソバ等の成分・機能特性の非破壊品質評価と品質保持技術の開発
- 予算区分:作物対応研究(転作作物)
- 研究期間:平成11年度(平成11~13年)