早期水稲栽培田における多年生雑草ショクヨウガヤツリの塊茎密度低減化技術
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要約
早期水稲収穫後の連続耕うんあるいは開花期のグリホサート液剤の散布を2年続けて実施することにより、ショクヨウガヤツリの生存塊茎密度は放任管理した場合のそれぞれ1/15、1/40程度に減少する。1年だけで防除を中止すると塊茎密度は増加に転じるので、2年以上の継続した防除が有効である。
- 担当:九州農業試験場・水田利用部・雑草制御研究室
(九州沖縄農業研究センター水田作研究部雑草制御研究室)
- 連絡先:0942-52-3101
- 部会名:総合農業(作物生産)、水田作
- 専門:雑草
- 対象:雑草類
- 分類:普及
背景・ねらい
世界的な畑の難防除雑草であるショクヨウガヤツリ(CyperusesculentusL.)が1980年代の半ば頃から熊本県、宮崎県、鹿児島県の水稲早期栽培水田に侵入・定着しており、周辺の畑や転換畑への分布域拡大が懸念されることから早急な防除対策の確立が望まれている。早期水稲栽培田での増殖と繁殖の様相、開花期におけるグリホサート液剤の単年度の効果については既に九州農業研究成果情報12号(1997)に記載したが、耕種的な防除法の効果および塊茎密度を低く維持するために必要な防除年数について明らかにする必要がある。
成果の内容・特徴
- 前年秋に形成されたショクヨウガヤツリの塊茎は、3月~7月を湛水条件で経過すると、落水後一斉に出芽するが、地上部を枯殺するなどして新たな塊茎形成を阻止すれば、生存塊茎密度は当初の1/15程度に減少する(表1)。
- 水稲収穫後15日と30日の2回耕うん、あるいは開花期(水稲収穫後45日頃)におけるグリホサート液剤(50ml/a)の散布は、生存塊茎密度を低減する効果が高く、2年続けて実施することにより、生存塊茎密度は放任区のそれぞれ1/15、1/40程度になる(図1)。
- 2年目の防除を実施しないで放任すると、生存塊茎密度は増加に転じる(表2)ことから、2年以上の継続した防除が有効である。
成果の活用面・留意点
- ショクヨウガヤツリの多発する早期水稲栽培田及び同様な水管理をする休耕田に適用できる。
- 試験にはグリホサートイソプロピルアミン塩(41%)を使用したが、グリホサートアミン塩(41%)でも同様な効果が期待できる。
- グリホサート液剤の散布効果は散布翌日以降に葉を切除しても低下しないことから、冬作物のレタス等を作付けするための耕うんは散布翌日でも実施可能である。
- ショクヨウガヤツリは種子による繁殖も可能であることから、結実を防ぐように防除時期に留意する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:早期水稲栽培田における多年生雑草の栄養繁殖器官の密度低減技術の確立
- 予算区分:先端技術開発研究[雑草防除]
- 研究期間:平成12年度(平成9~11年)
- 担当研究者:児嶋清、川名義明(農研セ)、住吉正、大段秀記