RFLPマーカーによる新しいトビイロウンカ抵抗性遺伝子座の同定
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要約
RFLPマーカーを用いた連鎖解析の結果、イネトビイロウンカ抵抗性に関する異種ゲノム種由来の新しい劣性遺伝子bph11(t)、bph12(t)をそれぞれ第3染色体、および第4染色体上に同定した。
- 担当:九州農業試験場・水田利用部・稲育種研究室
(九州沖縄農業研究センター水田作研究部稲育種研究室)
- 連絡先:0942-52-3101
- 部会名:総合農業(作物生産)、水田作
- 専門:バイテク
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
トビイロウンカ抵抗性遺伝子の利用は、トビイロウンカの被害を低減させるもっとも効率的手段である。しかし、これまでに日本稲に導入されたBph1~Bph3については、これらを加害するバイオタイプの飛来による抵抗性の崩壊が懸念されている。このため、新たな抵抗性遺伝子の探索・日本稲への導入が求められていた。本研究では、異種ゲノム種のOryza officinalis由来のトビイロウンカ抵抗性遺伝子についてRFLP分析による染色体座乗位置の決定を行う。
成果の内容・特徴
- O.officinalis由来トビイロウンカ抵抗性系統IR54742-23-19-16の持つ劣性の抵抗性遺伝子を第3染色体上に同定し、bph11(t)と命名した(図1、図3)。
- O.officinalis由来トビイロウンカ抵抗性系統GSK185-2の持つ劣性の抵抗性遺伝子を第4染色体上に同定し、bph12(t)と命名した(図2、図3)。
- bph12(t)はRFLPマーカ-G271、R93とそれぞれ2.4cM、4.0cMで密接に連鎖する(図3)。注)IR54742-23-19-16、GSK185-2はIR31917-45-3-2/O.officinalis//*2IR31917-45-3-2
成果の活用面・留意点
- 本研究で同定した新しいトビイロウンカ抵抗性遺伝子bph11(t)、bph12(t)を抵抗性育種に利用することができる。
- RFLPマーカ-G271はbph12(t)の選抜マーカーとして利用できる。(RFLPマーカー入手先:MAFFDNABANKTel0298-38-7467)
- これらの抵抗性遺伝子は、同じ遺伝子を用いた抵抗性品種が中国、東南アジアに普及されることによって、将来これらを加害するバイオタイプが飛来する可能性もあるので注意を要する。
具体的データ


その他
- 研究課題名:DNAマーカーを利用したイネトビイロウンカ抵抗性遺伝子の連鎖解析
- 予算区分:経常・バイテク先端技術開発(DNAマーカー)
- 研究期間:平成12年度(平成8~12年)