粗蛋白含有率が高い、温暖地向け多収だいず新品種候補系統「九州131号」

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要約

だいず「九州131号」は近畿、中国地方の温暖地に適しており、子実収量が高く、しかも子実中の粗蛋白含有率も高い。

 

  • 担当:九州農業試験場・作物開発部・大豆育種研究室
           (九州沖縄農業研究センター作物機能開発部大豆育種研究室)
  • 連絡先:096-242-7740
  • 部会名:総合農業(作物生産)、畑作
  • 専門:育種
  • 対象:豆類
  • 分類:普及

背景・ねらい

国産大豆の供給量が増える中、これまで以上に品質と収量性とを兼ね備えた品種が求められている。特に国産大豆は豆腐原料として、その大部分が利用されており、実需者、生産者から豆腐加工に適した品種への要望は強い。そこで、子実粗蛋白含有率が高く、多収性を備えた品種を開発し、国産大豆の品質向上と生産の安定を図る。

成果の内容・特徴

  • 「九州131号」は「フクユタカ」と「エンレイ」を交配して得られたF2個体に、再度「エンレイ」を交配して得られた系統である。
  • 成熟期は“中の晩”で、生態型は“中間型”であり、「タマホマレ」、「ニシムスメ」と同じく、近畿、中国地方の温暖地での栽培に適する。
  • 子実粗蛋白含有率は“高”であり、「タマホマレ」に比べ高く、豆腐加工適性が優れる。
  • 子実収量は「タマホマレ」、「ニシムスメ」に比べ多収であり、紫斑病抵抗性は“強”で、「タマホマレ」、「ニシムスメ」より強い。

成果の活用面・留意点

  • ダイズモザイクウイルス抵抗性が「タマホマレ」に比べ劣るため、健全種子を播種するとともに、黒大豆などの抵抗性“弱”の品種と離して栽培する。
  • 裂莢性が“易”なので、適期の収穫に努める。
  • 山口県、島根県で奨励品種として、また岡山県では認定品種として採用予定である。
  • 九州北部地域においては、本系統の導入により、大豆の収穫期が前進化でき、麦播種作業との競合が避けられる。

具体的データ

表1 「九州131号」の特性概要

その他

  • 研究課題名:だいずの暖地向き良質多収品種の育成、機械化適性形質等の導入による極省力化多収品種・系統の作出
  • 予算区分:経常、作物対応研究(21世紀プロ)
  • 研究期間:平成12年度(昭62~12年)