蒸切干加工用カンショ新品種候補系統「九州118号」

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要約

カンショ「九州118号」は、多収で蒸切干の加工適性が優れ、蒸切干用カンショ栽培地域に適する。肉色の黄色が濃くペースト加工用にも適する。

  • 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室(九州沖縄農業研究センター畑作研究部サツマイモ育種研究室)
  • 連絡先:0986-22-1506
  • 部会名:総合農業(作物生産)、畑作
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:普及

背景・ねらい

カンショ蒸切干は茨城県を中心に生産され、生産県の地域経済に貢献してきた。しかし、近年安価な輸入品が増加傾向にあり、需要の確保が問題となっている。現在の蒸切干用品種「タマユタカ」は命名登録から40年経過し、より品質の優れる加工用品種が要望されている。

成果の内容・特徴

  • 「九州118号」は、昭和63年に「九系70」を母、「ベニオトメ」を父として交配し、選抜した系統である。
  • 上いも重は、「高系14号」より20%(育成地)高い。
  • 蒸切干の糖化は「タマユタカ」と同程度、加工適性は繊維が少なく、剥きやすく、色上がりが良いことなどから「タマユタカ」より総合的に優れる。
  • 蒸しいもの食味は「やや上」で「高系14号」より優れ、蒸しいもの肉色は黄色が濃くペーストの加工用にも適する。
  • 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「強」、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「中~やや弱」である。
  • 貯蔵性は、「やや易」である。

成果の活用面・留意点

  • 蒸切干用カンショ栽培地域に適する。
  • ミナミネグサレセンチュウ抵抗性が「中」、黒斑病抵抗性は「中~やや弱」なので、同病虫害の多発地帯では防除に努める。

具体的データ

表1 九州118号の特性概要

その他

  • 研究課題名:暖地向け優良カンショ品種の育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成元年~平成12年)