加工用高アントシアニンカンショ新品種候補系統「九州132号」
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要約
カンショ「九州132号」は、高アントシアニン、多収で、収穫し易く、加工適性も優れる。また、いもを直接圃場に植え付ける直播栽培にも適する。食品加工用として、全国のカンショ作地域に適する。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・甘しょ育種研究室
(九州沖縄農業研究センター畑作研究部サツマイモ育種研究室)
- 連絡先:0986-22-1506
- 部会名:総合農業(作物生産)、畑作
- 専門:育種
- 対象:いも類
- 分類:普及
背景・ねらい
加工用カンショの需要拡大を図るため、「アヤムラサキ」より外観品質が優れ、収穫や加工に際しハンドリングし易い、高アントシアニンのカンショ品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「九州132号」は、平成4年に高アントシアニンの「アヤムラサキ」を母、多収、高でん粉の「シロユタカ」を父として交配し、選抜した系統である。
- いもの肉色は「紫」であり、塊根中のアントシアニン含量は「アヤムラサキ」と同程度である。
- いもの形状は「紡錘形」、外観は「上」で、「アヤムラサキ」に比べ優れ、収穫し易く、加工適性も優れる。
- 上いも重は、育成地の標準無マルチ栽培、長期透明マルチ栽培で「アヤムラサキ」よりそれぞれ7%、23%高い。
- 切干歩合(乾物率)は、「アヤムラサキ」より2~4ポイント高い。
- 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウ、ミナミネグサレセンチュウに「強」、黒斑病に「やや強」である。
- 貯蔵性は、「アヤムラサキ」並の「やや易」である。
- いもをそのまま圃場に植え付ける直播栽培では、親いも肥大はわずかであり、直播栽培に適する。
成果の活用面・留意点
- 全国のカンショ作地域に適する。
- 高アントシアニンで、ペースト、パウダーなどの加工用に適する。
- ペースト、パウダーの色調が「アヤムラサキ」と異なる。ペーストは「アヤムラサキ」に比べやや赤みが強く、パウダーは「アヤムラサキ」に比べ、ややくすんだ色調となる。
具体的データ

その他
- 研究課題名:暖地向け優良カンショ品種の育成、直播栽培に適したかんしょ品種の育成
- 予算区分:経常、転作作物
- 研究期間:平成12年度(平成5~12年、平成11~12年)