紫カンショのペースト色に及ぼす色素含量と色素成分の影響
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要約
紫カンショのペースト色は品種によって異なり、色素含量が高いと明度が低下する。色素成分のうち、ペオニジン型色素の比率が高いと赤みが増し、シアニジン型色素が多いと青みが強くなる。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・遺伝資源利用研究室
(九州沖縄農業研究センター畑作研究部遺伝資源利用研究室)
- 連絡先:0986-22-1506
- 部会名:総合農業(作物生産)、畑作、流通加工
- 専門:育種
- 対象:いも類
- 分類:研究
背景・ねらい
近年、紫カンショの優れた機能性が明らかにされたこと等により、多種多様な紫いも製品が開発され、紫カンショ粉末やペーストなどの需要は高まりつつある。今後、さらに紫カンショの用途拡大を図るためには、鮮やかなペースト色を示す優良品種の育成が重要と思われる。そこで、紫カンショ品種・系統におけるペースト色の品種間差異を評価し、ペースト色に及ぼすアントシアニン色素含量や色素成分の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 紫カンショの蒸しいものペースト色は、色彩色差計で測定したペーストのL*値(明度の指標)とb*/a*比(青み、赤みの指標)に基づいて評価できる(図1)。
- 紫カンショのペースト色は品種間で異なり、青みの強いグループと赤みの強いグループに分けられる(図1)。
- 蒸しいもの色価(色素含量の指標)が高くなると、ペースト色の明度は減少する(図2)。一方、色価とペーストの青み・赤みとの相関はほとんどない(r=0.05)。
- 高速液クロで分離した紫カンショの主要な色素成分のうち、シアニジン型色素に対するペオニジン型色素の比率が高いとペーストの赤みが強くなり、シアニジン型色素の割合が高いと青みの強いペーストとなる。(図3、図4)。
成果の活用面・留意点
- ペーストの色分析により、色価と色素組成を大まかに評価できる。
- ペーストのb*/a*比は、ペースト色に関する特性評価の基準として有効である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:暖地型栄養系遺伝資源の収集・保存と特性評価
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成12年度(平成10~12年)