糖生産力に優れるスイートソルガム純系系統「SIL-05」

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要約

スイートソルガム「SIL-05」は糖生産力に優れる純系系統で、既存の高糖性品種に比べ日当り糖収量が131%、糖収量が118%と高い。アルコール原料用のほか、一代雑種の親自殖系統として飼料用品種の育成に用いることができる。

  • 担当:九州農業試験場・畑地利用部・飼料作物育種研究室
           (九州沖縄農業研究センター畑作研究部とうもろこし育種研究室)
  • 連絡先:0986-22-1506
  • 部会名:畑作
  • 専門:育種
  • 対象:飼料作物類
  • 分類:研究

背景・ねらい

資源に限りのある化石エネルギーに代わる生物エネルギー素材の開発が要望されている。そこで、糖生産力と多収性に優れるスイートソルガムについて、従来の品種より糖生産力が高く、アルコール原料用として利用できる新系統の育成を目指す。

成果の内容・特徴

  • 「BR504×褐色在来」を母材として、耐倒伏性及び糖収量について選抜と自殖を行い育成した純系系統である。
  • 出穂期は「ヒロミドリ」より1週間早く、「中生」に属し(表1)、収穫までの日数は115日である(表2)。
  • 稈長は323cmで「長」、茎は汁性である(表1)。
  • 糖収量及び日当り糖収量は、「スーパーシュガー」、「高糖分ソルゴー」及び既存の純系品種「Crowley」より高く、糖生産力に優れる(表2)。
  • 乾物総重は「Crowley」及び「高糖分ソルゴー」より多く、「スーパーシュガー」よりやや低く、従来のソルガム品種と同程度のバイオマス生産力である(表2)。
  • 耐倒伏性は「Crowley」及び「高糖分ソルゴー」よりやや強い(表2)。
  • 採種量は53.1kg/a程度で、十分に高い。
  • 雄性不稔系統との単交雑一代雑種の花粉親としても利用できる。試作した単交雑一代雑種の日当り糖収量は、「Crowley」及び「褐色在来」並に高い(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 九州南部でアルコール及び糖原料用として利用できる。また、雄性不稔F1品種の花粉親として利用でき、飼料用への転用も可能である。
  • 対象地域には生物エネルギー産業の基盤がなく、現状での普及は困難である。本系統を含む生物エネルギー作物の普及には、環境問題や資源問題に関する政策の下での基盤整備が必要である。

具体的データ

 

表1 「SIL-05」の一般生育特性(九州農試2000年)

 

表2 「SIL-05」の糖生産力(乳熟期)と関連形質(九州農試1999-2000年の平均)

 

表3 「SIL-05」を花粉親とする単交雑組合せの糖生産力(乳熟期、九州農試1998年)

その他

  • 研究課題名:アルコール用スイートソルガムの超多収品種の開発
  • 予算区分:大型別枠(新需要創出)
  • 研究期間:平成12年度(平成10~12年)