暖地向き耐倒伏性とうもろこしの新品種「ゆめつよし」
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要約
「ゆめつよし」は、暖地向き春播き栽培用とうもろこしの中生の晩・耐倒伏性品種で、ごま葉枯病抵抗性及びさび病抵抗性は強である。TDN収量は同熟期の既存品種よりやや高い。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・飼料作物育種研究室
(九州沖縄農業研究センター畑作研究部とうもろこし育種研究室)
- 連絡先:0986-22-1506
- 部会名:草地(育種)、畜産・草地
- 専門:育種
- 対象:飼料作物類
- 分類:普及
背景・ねらい
九州農試では早生から中生の晩までの熟期別品種シリーズを育成してきた。しかし、最近に育成された早生の「ゆめちから」に比べ、中生以降の育成品種は耐倒伏性がやや低いことから、同熟期でより耐倒伏性が高い品種の育成が求められていた。そこで、わが国の暖地に適応する中生種で、耐倒伏性に優れ、ごま葉枯病等の主要病害に対する抵抗性の高い多収品種の育成を目標とした。
成果の内容・特徴
- 「ゆめつよし」は、「Mi44」を種子親とし、「Mi62」を花粉親として育成されたデント種×デント種の単交雑一代雑種である。
- 熟期は中生の晩に属し、絹糸抽出期は「はたゆたか」及び「G4655」より1日早い(表1)。
- 耐倒伏性は、「強~極強」で、「はたゆたか」、「G4655」及び「G4742」より強い(表1)。
- ごま葉枯病には「強」で、「はたゆたか」及び「G4655」並かやや強い。紋枯病には「はたゆたか」並かそれよりやや強く、「G4655」よりやや強い。さび病には「強」で、「はたゆたか」及び「G4655」より強い(表1)。
- 乾物総重は、「はたゆたか」、「G4655」及び「G4742」並である。乾雌穂重割合は「はたゆたか」及び「G4655」より高く、推定TDN収量は「はたゆたか」及び「G4655」よりやや高い(表1)。
- 播種遅れによる減収程度は「はたゆたか」及び「G4655」より小さい(表2)。
- 採種量は、雌雄畦比3:1で25kg/a程度が見込まれる。採種栽培で両親の開花期を合致させるためには、種子親を1週間程度遅播きする必要がある。
成果の活用面・留意点
- 九州、四国、中国地域の春播き栽培に適する。
- 南方さび病抵抗性は一般的な春播き栽培用品種よりやや強いものの、晩播栽培はできない。発生地では、遅くとも5月下旬までに播種する。栽植密度は650~700本/a程度とする。
具体的データ


その他
- 研究課題名:暖地向き飼料用トウモロコシの新品種育成
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成12年度(平成7~12年)
- 研究担当者:澤井 晃、伊東栄作、江口研太郎、池谷文夫、濃沼圭一