送風と間欠細霧の組み合わせによる防暑効果の向上

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要約

連続送風と噴霧量を増やした間欠細霧の組み合わせ方式は、牛床を濡らさずに泌乳牛の体熱放散を亢進し、乳量、乳成分の向上が期待される。

  • 担当:九州農業試験場・畜産部・環境生理研究室(九州沖縄農業研究センター畜産飼料作研究部環境生理研室)
  • 連絡先:096-242-7748
  • 部会名:畜産、畜産・草地
  • 専門:飼育管理
  • 対象:家畜類
  • 分類:指導

背景・ねらい

乳牛の遺伝的改良に伴う採食量の増大と地球温暖化傾向により、夏季における泌乳牛の暑熱ストレスは増加する一方であり、牛の体から熱を放散させるための防暑機材の機能向上が緊急の課題となっている。一方、泌乳牛からの熱放散を最大にする方法として、牛体散水法があるが、牛床を濡らし不衛生となるなどの問題がある。そこで、送風機の前面に細霧ノズルを3~4個配置することで噴霧量を増加させることにより、牛床を濡らさずに牛からの体熱放散効率を高める方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 噴霧しながら送風すると、体表面温度が低下する3分後までは、細霧が体表面から熱を奪う効果が大きいが、その後はその効果が小さくなる。また、体表面に付着する水量も3分で最大になり、以後は体表面から水滴となって流れ落ちる。したがって、牛床を濡らさないためには、噴霧を3分以内とする必要がある(図1)。
  • 送風のみを行うと、体表面が乾いた状態では、すぐに体表面温度が上昇し、顕熱放散が亢進する。体表面に水分が付着した状態では、乾いた状態と同じ温度になるまで約6分以上が必要となる(図2)。
  • 上記の結果から、送風と細霧の理想的な組み合わせとして、連続送風下で3分噴霧と6分休止のサイクルで細霧を行うことが推奨される(図3)。
  • 上記の方法を行うと、体熱放散量の増加によって体温の低下および呼吸数の減少が生じるとともに飼料摂取量が増加し、乳量、乳成分が向上する(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 防暑設備の新設、改修時の設計指針として活用できる。
  • ノズルから噴出する水量は、ノズルの種類、数、水圧などにより異なるので、牛体表面が濡れるまでの時間を目安に噴霧時間を設定し、休止時間をその約2倍とする。

具体的データ

図1 細霧の噴霧時間による体表面温度と体表面に付着する水量の変化

 

図2 送風による体表面温度の変化

 

図3 送風と細霧の組み合わせ方法の概略

 

表1 送風+間欠細霧が乳生産に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:乳牛の暖地型群管理システムにおける行動学的検討
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成8~12年度)