西南暖地におけるギニアグラス等飼料作物の夏季放牧利用

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要約

西南暖地において、春季にギニアグラス(品種:ナツコマキ)等の一年生飼料作物による草地を造成し、夏季に繁殖牛を輪換放牧することにより、高牧養力の夏季放牧草地として活用できる。

  • 担当:九州農業試験場・草地部・草地管理研究室(九州沖縄農業研究センター畜産飼料作研究部草地管理利用研究室)
  • 連絡先:096-242-7757
  • 部会名:畜産・草地
  • 専門:栽培
  • 対象:牧草類
  • 分類:指導

背景・ねらい

西南暖地の棚田や転作田等においては、冬季イタリアンライグラス放牧草地の普及とともに夏季放牧の要望が高いが、バヒアグラスやシバ等の永年生牧草種を用いた従来の夏季放牧草地では栄養価がやや劣る。そこで、イタリアンライグラスと組み合わせるために、一年生飼料作物ギニアグラス等の草地が、夏季の高牧養力放牧草地として活用できることを明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ギニアグラス(播種量2kg/10a)、ローズグラス(4kg/10a)、カラードギニアグラス(4kg/10a)、栽培ヒエ(6kg/10a)を5月中下旬に播種し、草高30~40cmで6月下旬から11月上旬まで放牧利用する。繁殖牛1頭あたりの放牧面積は12a、1牧区1.7a程度とし、およそ2週間毎に2~3日滞牧の輪換放牧とする。
  • これら草種の延放牧頭数は840~1,200頭・日/haと高く、乾物生産量はギニアグラス、ローズグラス、カラードギニアグラス、栽培ヒエの順で高い(表1)。またギニアグラスのなかではナツコマキが最も高い(表2)。
  • 茎数密度はギニアグラスでもっとも高く、なかでもナツコマキの平均茎数密度は1,500~1,700本/m2と高密度を維持し放牧適性が高い(表1、表2)。
  • 各草種の粗蛋白質(CP)含量率は20%前後で推移し、平均値は18~22%範囲である(図1)。また可消化養分総量(TDN)含有率は56~73%の範囲内で推移し、各草種の平均値ではギニアグラスが最も高い(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 転作田等の夏季放牧利用草地の草種選定に活用できる。
  • ギニアグラスは土壌水分の少ない転作田等で用いる。新品種のナツコマキ種子は平成14年春季から流通予定である。

具体的データ

表1 各草種の年間生産量、被食量、延放牧頭数および平均茎数密度

 

表2 ギニアグラス各品種の年間生産量、被食量、延放牧頭数および平均茎数密度

 

図1 各草種のCP(粗蛋白質)およびTDN(可消化養分総量~含有率の推移)

その他

  • 研究課題名:暖地の無畜舎周年放牧用草地の省力的管理・利用技術
  • 予算区分:畜産対応研究〔自給飼料基盤〕
  • 研究期間:平成12年度(平成10~12年)
  • 研究期間:山本嘉人、進藤和政、萩野耕司、中西雄二、渡邊伸也
  • 発表論文等:温暖地における夏季放牧用高栄養飼料作物の放牧適性.日草誌. 45(別), 16-17. 1999.