成長期の牛の循環血中IGF-1濃度は成長速度を反映した変化を示す

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

成長速度の速い雄牛では去勢牛よりも循環血中のIGF-1(インスリン様成長因子-1)濃度が高く、成長中のIGF-1濃度は平均日増体量とは正の、飼料要求率とは負の相関を示すことから、成長能力の推定指標となる可能性がある。

  • 担当:九州農業試験場・畜産部・栄養・飼料研究室
           (九州沖縄農業研究センター畜産飼料作研究部栄養生理研究室)
  • 連絡先:096-242-7747
  • 部会名:畜産・草地
  • 専門:飼育管理
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ホルモンや代謝成分の血中濃度を指標として牛の成長能力を推測する試みがなされているが、成長速度を反映した変化を示す指標は見いだされていない。細胞増殖を促進するインスリン様成長因子-1(IGF-1)の血中レベルは牛の成長能力の推定指標として有望である。そこで、成長速度の異なる牛群のモデルとしてホルスタイン種の雄牛と去勢牛各5頭を3カ月齢から12カ月齢まで飽食で飼育し、循環血中IGF-1濃度を約1カ月間隔で測定して増体や飼料利用効率との関係を調べた。

成果の内容・特徴

  • 平均日増体量は雄で去勢雄よりも高く、成長速度は去勢により低下する(図1)。
  • IGF-1濃度は雄および去勢雄ともに3カ月齢以降上昇し、8カ月齢前後でピークに達するパターンを示すが、雄で去勢雄よりも高く推移し成長速度を反映した変化を示す(図1)。
  • 成長中のIGF-1の平均濃度は平均日増体量とは正の、飼料要求率とは負の相関を示すことから(図2)、成長能力の指標として利用できる可能性がある。

成果の活用面・留意点

  • 肉用種種雄牛の選抜などの参考データとして利用できる。
  • 成長の旺盛な時期に飽食で飼育されている性や飼養条件などが同一の牛群内での利用にとどめる。

具体的データ

図1 ホルスタイン種雄牛(●)および去勢牛(○)の体重および血漿中IGF-1濃度

 

図2 ホルスタイン種雄牛(●)および去勢牛(○)の3カ月齢から12カ月齢における平均日増体量および飼料要求率と血漿中IGF-1の平均濃度との関係

その他

  • 研究課題名:下垂体ホルモンによる反芻家畜の成長・代謝調節機構の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成9~12年)