九州・沖縄地域のかんしょ作地帯におけるネコブセンチュウ類の分布

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要約

九州・沖縄地域のかんしょ作地帯におけるネコブセンチュウ類の検出圃場率は、九州本土で極めて高く、九州島嶼部および南西諸島でやや低い。PCR-RFLP法による同定では、検出された種の97.2%がサツマイモネコブセンチュウであり、アレナリアネコブセンチュウは2.8%である。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・線虫制御研究室
           (九州沖縄農業研究センター地域基盤研究部線虫制御研究室)
  • 連絡先:096-242-7734
  • 部会名:総合農業(生産環境)、病害虫
  • 専門:作物虫害
  • 対象:いも類
  • 分類:指導

背景・ねらい

ネコブセンチュウ類は主要な畑作物・野菜類の大きな生産阻害要因であり、これらの九州・沖縄地域における地理的分布おベルで明らかによび検出圃場率を種レしておくことの必要性は高い。しかし、従来の調査は地理的に断片的であり、種レベルでなされたものは少ない。また、従来の調査のほとんどでは30年以上前に行われており、現在では作物の種類や品種も変遷している。そこで九州・沖縄地域のかんしょ作地域において広くサンプリングを行い(長崎県24筆、熊本県31筆、宮崎県34筆、鹿児島県88筆、沖縄県34筆、計211筆)、ベールマン法により線虫を分離し(生土20g、室温72時間、2反復)、ネコブセンチュウ類の分布および検出圃場率を明らかにする。また、従来の形態的観察に比べ、迅速かつ客観的に種の同定ができるPCR-RFLP法により、その種構成を解明する。

成果の内容・特徴

  • 九州本土ではネコブセンチュウ類の検出圃場率は極めて高い(95.8%)。九州島嶼部および南西諸島ではやや低く、1/2程度である(52.9%)。しかし、その検出圃場率は高い島(天草下島、種子島、奄美大島)と低い島(五島列島、長島、徳之島、沖縄本島、石垣島)とに別れる。(図1)。
  • 生食用品種作付圃場とデンプン原料用品種作付圃場との間で、検出圃場率に大きな差はない。
  • 検出されたネコブセンチュウの種は、ほとんどがサツマイモネコブセンチュウである。アレナリアネコブセンチュウはごくわずかに検出される(調査圃場211筆中6筆、2.8%のみ)(図1)。ジャワネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウは本調査では検出されない。

成果の活用面・留意点

  • ネコブセンチュウ類分布の地域的特徴を考慮した作付体系の策定や、抵抗性品種選択等の、耕種的防除の勘案・指導に役立てることができる。
  • 線虫の分布変動要因解析の基礎的資料となる。

具体的データ

図1 九州・沖縄地域のかんしょ作地帯におけるネコブセンチュウ類の分布

 

その他

  • 研究課題名:DNA解析技術に基づく暖地有害線虫の同定および地理的分布の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成11~13年)