九州の代表的な畑土壌にTDR土壌水分計を適用する際の較正式

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要約

九州の代表的な畑土壌(黒ボク土、赤黄色土、褐色森林土)に対してTDR土壌水分計を適用する場合、土壌の乾燥密度、粒径組成、腐植含量等の影響によりTopp式が適用できない土壌については較正式により対応する。

  • 担当:九州農業試験場・生産環境部・資源評価研究室
           (九州沖縄農業研究センター環境資源研究部資源評価研究室)
  • 連絡先:096-242-7767
  • 部会名:生産環境
  • 専門:土壌
  • 対象:農業工学
  • 分類:研究

背景・ねらい

土壌の保水機能を評価するためには、精度の良い土壌水分量の測定が必要である。TDR(Time Domain Reflectometry)土壌水分計は従来にない測定精度の高い土壌水分計として近年急速に普及しつつある。この土壌水分計では土壌の体積含水率-比誘電率(θ-εb)関係を利用しており、較正式としてTopp式((1)式)が広く用いられる。そこで、九州の代表的な畑土壌(黒ボク土、赤黄色土、褐色森林土)及び砂に対するTopp式の適用性を検討するとともに、土壌ごとに較正式をもとめる。 Topp式:εb=3.03+9.3θ+146θ2-76.7θ3 (1)

成果の内容・特徴

  • θ-εb関係の測定は、供試体に水を十分与えた状態から、室内での自然蒸発により乾燥過程で行う。TDRプローブには2線式のものを利用する。
  • 砂と褐色森林土(表層土)では、比較的Topp式に適合している。他の土壌ではTopp式から乖離し、そのずれは単なる曲線の平行移動では修正できない。黒ボク土はTopp式からのずれの程度が最も顕著である。(図1)。
  • 6種類の供試土(表1)の実測値に対して三次関数の較正式を表2に示す。
  • 表1をもとに各土壌のθ-εb関係を相互に比較すると、
    • 赤黄色土と褐色森林土(下層土)では、θ-εb関係は土壌の種類よりも粒径組成や乾燥密度に依存する。
    • 西合志と都城の黒ボク土では、θ-εb関係は粒径組成や腐植含量よりも乾燥密度に依存する。
    • 赤黄色土と黒ボク土(都城)θ-εb関係は風乾含水率が同じ場合、乾燥密度により違いが現れる。

成果の活用面・留意点

  • 供試土と類似の物理性を示す土壌では、TDR土壌水分計の較正式として利用できる。
  • シラスやアカホヤなど特殊土壌については更に検討が必要である。

具体的データ

表1 供試土の土性と主な物理性

 

表2 供試土の較正式

 

図1 各土壌の体積含水率-比誘電率関係の実測値と較正式の比較

 

その他

  • 研究課題名:九州地域における畑地土壌の保水機能の評価
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成10~13年)