エクストルーダ処理によるアヤムラサキカンショパウダーの品質改善と高付加価値化
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要約
アヤムラサキカンショパウダーをエクストルーダ処理すると、アントシアニン色素を保持したままパウダー中の生菌数を低減できる。また、水の添加量や運転条件の組み合わせによりデンプンの状態、材料形状等が変化し、原材料パウダーとは異なる特性を持つ材料が得られる。
- 担当:九州農業試験場・畑地利用部・作業システム研究室
(九州沖縄農業研究センター畑作研究部作業システム研究室)
- 連絡先:0986-22-1506
- 部会名:農業機械・土木,流通加工
- 専門:機械
- 対象:いも類
- 分類: 研究
背景・ねらい
アントシアニン等の有用成分を保持したまま乾燥・製粉する技術が開発され、この方法により製造されたカンショパウダーが食品素材として市場で流通している。しかし、パウダー中の雑菌の問題等、食品材料として改善すべき点があり、解決が求められている。そこで、雑菌低減のための一方策として二軸エクストルーダによる処理を試行し、品質改善効果を検討する。
成果の内容・特徴
- エクストルーダ処理によって、カンショパウダー中の一般生菌数を低減でき、特に数%の水の添加とスクリュー回転数を上げることによって高い殺菌効果が得られる(表1)。さらに酢酸を添加することで殺菌効果は高くなる。添加濃度は0.5~1%で効果が得られる。
- アントシアニン色素は、水添加・スクリュー回転数増加によりほとんど減少しない。酢酸添加では減少する。また、酢酸添加(1%)によりパウダーのa*値および彩度C*値は増加する。
- エクストルーダ処理によりデンプンや材料形状(顆粒状、粒状等)を変化させることで、既存のカンショパウダーと異なる加工特性を持つ一次素材が得られる。粉体よりも水馴染みが良く加水混合操作が容易になり、粉体の取り扱い上の問題(食品工場内のコンタミ等)も改善される。
成果の活用面・留意点
- カンショパウダー製造における殺菌処理工程の検討材料とする。
- ペースト化や加工食品製造のための材料として利用できる。
- 水添加・回転数180rpmの処理条件でデンプン粒の損傷が生じ、用途によっては不適となり得る。
- 処理条件は使用機種に依存する。
- 酢酸添加処理後は、エクストルーダ内部のFeの溶出防止のため洗浄を行う。
具体的データ

その他
- 研究課題名:カンショパウダーの加工条件及び加工適性の解明
- 予算区分:大型別枠(新需要創出)
- 研究期間:平成12年度(平成10~12年)