甘くておいしい青果用カンショ新品種「べにまさり」
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要約
カンショ「べにまさり」は、肉色の黄色が濃く、肉質はやや粘質で、食味が優れる。また、多収であり、早掘適性がある。萌芽性や貯蔵性も良い。青果用として、全国のカンショ作地域に適する。
- キーワード:カンショ、良食味、多収、早掘適性、萌芽性、貯蔵性、肉質
- 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・サツマイモ育種研究室
- 連絡先:0986-22-1506
- 区分:九州沖縄農業・畑作、作物
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
青果用カンショ「高系14号」およびその派生系統は全国で広く栽培されているが、病虫害に対する抵抗性が弱く、収量や外観が低下する欠点を有している。また、「高系14号」の蒸しいもは中程度の甘味と肉質を有しているが、近年の食味志向の多様化により異なるタイプの品種も要望され始めている。そこで、収量性、食味、病虫害抵抗性に優れる青果用品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「べにまさり」は、平成4年に「九州104号」を母、「九系87010-21」を父として交配し、選抜した系統である。
- 上いも重は、「高系14号」より標準栽培で15%、早掘マルチ栽培で26%高い(育成地)。
- 蒸しいもの食味は「上」で「高系14号」の「中」より優る(育成地)。
- 蒸しいもの肉色は「淡黄」で「高系14号」の「黄白」より黄色が濃い。
- 蒸しいもの肉質は「やや粘質」で「高系14号」の「中」と異なる。
- 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「中」、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「やや強~強」である。
- 貯蔵性は、「コガネセンガン」や「高系14号」より優れ「やや易」である。
- 萌芽性は、「コガネセンガン」や「高系14号」より優れ「やや良」である。
成果の活用面・留意点
- 蒸しいもが「高系14号」と異なる特性の青果用カンショとして全国に適する。
- ネコブセンチュウ抵抗性とミナミネグサレセンチュウ抵抗性が「中」なので、センチュウ害の多発地帯では防除に努める。
- いもの位置が深くなることがあるので、掘取りに留意する。
具体的データ

その他
- 研究課題名:暖地向け優良カンショ品種の育成
- 予算区分:経常
- 研究期間:1993~2001年度
- 研究担当者:山川 理、石黒浩二、熊谷 亨、甲斐由美、吉永 優、中澤芳則、日高 操
- 発表論文等:2001年12月農林登録 かんしょ農林55号「べにまさり」