炭そ病抵抗性のイチゴ中間母本候補「久留米素材2号」
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要約
「久留米素材2号」は、イチゴ炭そ病に対して、抵抗性品種の「宝交早生」、「Dover」と同程度以上の強度抵抗性を有し、炭そ病抵抗性品種育成の交配親として利用できる。
- キーワード:イチゴ、中間母本、炭そ病抵抗性
- 担当:九州沖縄農研・野菜花き研究部・野菜育種研究室
- 連絡先:0942-43-8271
- 区分:九州沖縄農業・野菜花き、野菜茶業・野菜育種
- 分類:科学・普及
背景・ねらい
イチゴの育種では、これまで生態特性や果実品質を重視した育種が行われてきたこともあって、安定生産や減農薬栽培に重要な耐病性育種が遅れている。そのため、重要病害のイチゴ炭そ病に対する抵抗性品種育成のための、中間母本系統を育成する。
成果の内容・特徴
- 「久留米素材2号」は、1990年に炭そ病抵抗性の育成系統「83118-41」(「Florida693」×「ひのみね」)と抵抗性品種「Dover」との正逆交配を行い、得られた実生から選抜された炭そ病に強度抵抗性の系統である。
- 炭そ病抵抗性は抵抗性品種の「Dover」や「宝交早生」と同程度以上の抵抗性を有する(表1)。
- 罹病性品種「とよのか」との交配実生集団において、従来の抵抗性品種「宝交早生」、「Dover」、「サンチーゴ」と比較して、強度抵抗性個体の出現率が高く、炭そ病抵抗性の交配親として高い能力を有する(表1)。
- 萎黄病に対しては中程度以上の抵抗性を示し、うどんこ病にも比較的強い(表2)。
- 促成栽培では草勢はやや強、草姿は中間である。葉身は小さいが、分げつが旺盛なため葉数は多く、花房数もかなり多い。開花日は「とよのか」より1週間程度遅い。収量は「とよのか」より多い。果実は「とよのか」より小さく、円錐形で種子の落ち込みが深く、果皮色は鮮赤で光沢がやや劣る。果実硬度は「とよのか」より高い。糖度(Brix)は7%程度と低く、酸度は中程度で、食味は劣る(表3)。
成果の活用面・留意点
- 早生性が劣るため、促成栽培用品種の育成には早生品種・系統との交配が望ましい。
具体的データ



その他
- 研究課題名:イチゴのうどんこ病・萎黄病・炭そ病複合抵抗性検定法及び素材系統の開発、
イチゴの炭そ病・うどんこ病抵抗性系統の育成
- 予算区分:経常、交付金
- 研究期間:1994~2005年度
- 研究担当者:野口裕司(北海道農研)、望月龍也、沖村誠、曽根一純
- 発表論文等:1)Noguchi et al(1998)Abst. XV EUCARPIA General Congress, 20