乗用管理機を利用した水稲の作溝同時湛水点播技術
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要約
作溝ディスク付き代かきロータリと打込み点播機を装着した乗用管理機を用い、代かき後2~3日目に播種を行うと、車輪跡を利用した溝成形により播種後の落水が促進され、苗立ちが向上する。また、現行のトラクタ装着タイプと同等の収量、品質および耐倒伏性が得られる。
- キーワード:乗用管理機、作溝、湛水直播、水稲、打込み点播栽培
- 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・水田作総合研究チーム
- 連絡先:0942-52-0694
- 区分:九州沖縄農業・農業機械・土木、九州沖縄農業・水田作
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
「打込み式代かき同時土中点播機」は、トラクタ後部に代かきロータリとともに装着して使用されているが、近年普及しつつある乗用管理機に上記播種機部分を装着することにより、本播種機の利用条件の拡大とこれにともなう普及が期待される。また、乗用管理機の車輪跡を排水用の溝として利用することにより出芽・苗立ちの安定化のための播種後の落水管理が容易になるとともに、スクミリンゴガイ多発圃場では落水による食害回避効果が高まると考えられる。そこで、乗用管理機への打込み点播機の搭載や、乗用管理機の車輪跡を利用した播種同時作溝による出芽・苗立ち安定化および生育・収量に及ぼす影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 試作した作溝ディスク付き代かきロータリは、乗用管理機の車輪跡をそのまま溝に成形するための作溝ディスクを簡易な代かきロータリに装着したものであり、落水管理のための作溝と播種深度確保のための土壌表面の攪拌を同時に行うことが可能である(図1)。
- 上記ロータリと打込み点播機を装着した乗用管理機(図2)を用いて播種を行っても、トラクタに点播機を装着して代かき同時播種を行った場合と比較して、収量、品質および耐倒伏性に差を生じない(表1)。
- 乗用管理機を用いた播種では、通常の代かきロータリを装着したトラクタで代かきを行うが、細粒灰色低地土圃場における代かき後日数が0~1日目に播種を行うと播種時に成形される溝は浅く、落水促進効果は期待できない(図3)。これに対し、代かき後2~3日目に播種を行うと溝成形が深くなり落水が速やかに行われるために、苗立ち率が向上する(図3)。
成果の活用面・留意点
- 特にスクミリンゴガイ多発圃場において作溝にともなう食害回避による苗立ち向上効果が期待される。
- 代かき後播種までの期間は湛水状態とし、播種時の湛水深は2~3cmを目安として調整する。
- 土性の異なる圃場における播種の適正な代かき後日数や播種時の湛水深については別途検討が必要である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:乗用管理機を利用した作溝同時点播技術の開発
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:田坂幸平・(松島憲一・農水省)・吉永悟志・脇本賢三